2020年7月16日木曜日

関西・共創の森

 近畿地方経済産業局が創設した「イノベーションを支援する組織」。令和2年に、近畿地方経済産業局が「大阪・関西万博を見据え」て、「イノベーション・エコシステムを形成」する意図で、独立行政法人に呼び掛ける形で設立された。近畿地方経済産業局管内において、従来、各独立行政法人が個別に実施していたイノベーション支援の取り組みを「一体的、効率的」に進めるほか、各独立行政法人の連携により、それぞれが保有する企業情報を共有することとしている。
 
(参考)
「関西・共創の森」参画独立行政法人一覧
  • 独立行政法人工業所有権情報・研修館
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 独立行政法人製品評価技術基盤機構
  • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
  • 独立行政法人日本貿易振興機構
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構

2020年7月14日火曜日

出勤者削減の取組など新型コロナウイルス感染症の影響に伴う独立行政法人通則法において期日までに主務大臣宛てに提出することとされている書類の取扱いについて(令和2年4月17日総務省行政管理局管理官(独立行政法人制度総括担当)・管理官(独立行政法人評価総括担当)事務連絡)

 「出勤者削減の取組など新型コロナウイルス感染症の影響に伴う独立行政法人通則法において期日までに主務大臣宛てに提出することとされている書類の取扱いについて」(令和2年4月17日総務省行政管理局管理官(独立行政法人制度総括担当)・管理官(独立行政法人評価総括担当)事務連絡)は、令和2年に総務省行政管理局の管理官(独立行政法人制度総括担当)及び管理官(独立行政法人評価総括担当)の連名により、各府省担当課長宛に発出された事務連絡。新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく緊急事態宣言の発出等に伴い、各独立行政法人における「出勤者7割削減」に「可能な範囲で最大限取り組んでいただくよう」依頼するとともに、独立行政法人通則法に基づく財務諸表及び業務実績報告書等の提出書類の取扱いを示し、各独立行政法人に周知するよう求めている。
 独立行政法人通則法においては、6月末日を期限として、前年度の財務諸表や業務実績報告書を提出するよう求めているところ。今回、「出勤者削減の取組など新型コロナウイルス感染症の影響に伴う独立行政法人通則法において期日までに主務大臣宛てに提出することとされている書類の取扱いについて」では、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言に伴う出勤者削減の影響を勘案して、「期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置」に係る政令が制定された場合、又はこれが制定されなかった場合を見越し、法定の期限に対する猶予措置の余地を示している。
 なお、独立行政法人通則法に基づく法定提出期限を巡っては、独立行政法人の監査人業務を担う立場で、日本公認会計士協会より、財務諸表等の期限の柔軟な取扱いを求めた「独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)」(令和2年5月1日日本公認会計士協会会長)(非営利2020第1号)が各主務大臣に対して提出されている。今般の新型コロナウイルス感染症に伴う独立行政法人通則法の法定期限への対応については制度官庁及び監査人ともに、柔軟な取扱いを認めたものと言える。
 
本文:

2020年7月2日木曜日

独立行政法人が所有する土地と建物

 会計検査院の調べによれば、平成23年度末時点で、当時存在した102の独立行政法人のうち、100の法人が土地又は建物を保有していた。同時点における価格として、独立行政法人全体で、土地21兆2211億円、建物5兆9084億円、合計27兆1296億円が計上されている。
 これらには、独立行政法人が事業を行うための事業用地や建物が含まれているほか、宿舎等の福利厚生施設も含まれている。なお、平成24年度開始直後の「独立行政法人の職員宿舎の見直し計画」(平成24年4月3日行政改革実行本部決定)により宿舎の廃止等が図られたこと、その後の独立行政法人の統廃合や民営化又は国への移管を加味すると、現在の独立行政法人の土地と建物の保有規模は、当時に比べて減少している可能性がある。

2020年7月1日水曜日

IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ(令和2年6月30日関係省庁申合せ一部改正)

 「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」(令和2年6月30日関係省庁申合せ一部改正)は、令和2年6月30日に関係省庁が申合せたもの。同日に持ち回り開催されたサイバーセキュリティ対策推進会議(CISO等連絡会議)にて決定された。「国の行政機関」(府省)において適用してきた「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」(平成30年12月10日関係省庁申合せ)を一部改正し、当該申合せの対象に独立行政法人等を含めることとしたもの。
 
〇解説
 従来、国等においては、「開発・製造過程において悪意ある機能が組み込まれる懸念が払しょくできない機器等、及びサプライチェーン・リスクに係る懸念が払拭できない企業の機器等を調達しないこと」が求められてきた。上述の平成30年の申合せ以降、令和元年度末までに、83件の「サプライチェーン・リスクの懸念が払しょくできない機器等が含まれている」事例が確認されたことや、申合せの適用開始から1年以上経過したところ、「これまで大きな混乱はなく、適切に運用されている」ことなどを踏まえ、独立行政法人通則法に基づく87の独立行政法人及びサイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)に基づく指定法人に申合せの適用を拡大することとし、旧申合せの一部改正によりこれを反映している。
 
〇要求内容
 「国家安全保障及び治安関係の業務を行うシステム」や「基幹業務システム、LAN等の基盤システム」のみならず「運営経費が極めて大きいシステム」などの観点で、「より一層サプライチェーン・リスクに対応することが必要であると判断されるもの」について、必要な措置を講じることが求められている。契約方式については、総合評価落札方式や企画競争等、価格面のみならず総合的な評価を行う契約方式を採用する。また、仕様条件の決定や製品及び役務を提供する事業者の選定のため、RFI(情報提供招請)やRFP(技術提案要請)を行うことが求められる。
 
〇意義
 WTO政府調達協定や日本政府の自主的措置により、従来、多くの独立行政法人において、一定額(80万SDR以上)以上の情報システムの調達については、総合評価落札方式が原則とされてきたところ。「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」が、すべての独立行政法人に適用されたことにより、WTO政府調達協定や自主的措置の対象如何、及び金額如何を問わず、重要な情報システムについては総合評価落札方式又は企画競争等によることとなり、価格のほか技術等を評価する調達が一層拡大される可能性がある。
 また、従来、独立行政法人に対しては、「独立行政法人における随意契約の適正化の推進について(依頼)」(平成19年11月15日総務省行政管理局長・総務省行政評価局長事務連絡)等により、「制限的な応募条件等の設定」の排除を通じた「競争性の発現」が求められてきたところ。今般、「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」により、「サプライチェーン・リスク」に対応する余地が陽に認められたことは、大きな転換点となり得ると考えられる。
 
〇適用
 独立行政法人については、「令和2年度予算に基づき令和2年6月30日以降」に「調達手続きが開始されるものから適用」する旨が示されている。
 
本文:

2020年6月1日月曜日

国立の研究開発法人(俗語又は誤用)

 「国立の研究開発法人」は、河北新報が用いている造語。令和2年5月29日に、復興庁福島浜通り地域の国際教育研究拠点に関する有識者会議の資料を一次資料として、配信記事に用いた。
 
(解説)
 この造語を用いた場合、対象が、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律上の「研究開発法人」なのか、独立行政法人通則法上の「国立研究開発法人」なのかが、不明瞭という問題がある。仮に前者の場合は、そもそも「研究開発法人」が、法律に基づき設置され、主務大臣による予算措置を前提とするものである以上、あえて「国立」と付す必要はないと考えられる。事実関係としては、一次資料において「国立研究開発法人」と明記されていたのを、河北新報において記事化されるにあたり、「国立」を強調する観点で、この表現が採用されたものと見られる。
 「研究開発法人」の概念は、「国立研究開発法人」の類型よりも広い範囲を指し、いわば、研究開発法人>国立研究開発法人という包含関係にある。これは、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律における研究開発法人の指定が、独立行政法人通則法上の国立研究開発法人の類型に該当するもの以外の独立行政法人を含めて指定しているほか、制度上の取扱い及び位置付けも詳細において異なる。今回、河北新報が記事のもととした一次資料においては、「国立研究開発法人制度」の適用が謡われていたところ、「国立研究開発法人」と「研究開発法人」のいずれかか、判別のつきにくい造語を用いたことは、厳密性に欠けるとみられるものの、地方紙の視点で「国立」の機関の設置を強調する意図があったとすれば、直ちに誤用とも言い切れない。

2020年5月9日土曜日

独立行政法人性悪説

 独立行政法人に多額の税金がつぎ込まれ、天下り先として肥大化し、税金の無駄の温床となっていると見る向きのこと。また、独立行政法人を画一的・十把一絡げに「悪」とみなしている見方のこと。主として、過去の独立行政法人改革に「行き過ぎ」がなかったかという批判や、あるいはマスコミを通じた独立行政法人を巡る世論の形成に曲解や誤解がないかと懸念する立場で使用される。特に平成25年以降の独立行政法人改革を巡る議論を契機に、国会等で用例が見られた。
 平成25年4月の内閣官房「独立行政法人改革に関する有識者懇談会」において、独立行政法人に対する風当たりの強さの一例として、ロケットの打ち上げ失敗に伴う世論の反応が引き合いに出された際に、「性悪説」的な見方が話題に上がっている。具体的には、「独立行政法人の事業とかいろんなものを国民が見るのは、やはりマスコミを通じて」との認識の下、過去、独立行政法人の会計基準を巡り、記者の誤解により「間違った情報が国民に流れて」しまったケースがある、として「独立行政法人の制度の趣旨がうまく伝わっていない」ことにより「独立行政法人にとって不本意な見方がマスコミに伝わ」り、ひいては「そういうものを前提にした国民の目線が形成されているから、かえって独立行政法人側に悪い影響が出て、いろんな萎縮になっている」「独立行政法人の経営が悪いように曲解をされているケースがあるのではないか」との提起がなされている。
 このほか、同年12月の「行政改革推進本部独立行政法人・特別会計委員会報告書」(平成25年12月3日自由民主党行政改革推進本部独立行政法人・特別会計委員会)では、民主党政権における行政改革を批判する立場から、「独立行政法人性悪説に立った民主党政権の制度・運用での行き過ぎた措置」の白紙化を求める提言が見られている。また、国会においては、翌平成26年4月22日の衆議院本会議における質疑にて「独法改革の背景の一つには、独法に多額の税金がつぎ込まれて、官僚の天下り先として肥大化し、税金を無駄に食っているとの独法性悪説、独法シロアリ論が」あるとする用例がある。

2020年5月8日金曜日

独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)(令和2年5月1日日本公認会計士協会会長)(非営利2020第1号)

 「独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)」(令和2年5月1日日本公認会計士協会会長)(非営利2020第1号)は、令和2年に日本公認会計士協会会長から各独立行政法人の主務大臣に対し提出された要望書。文書番号は非営利2020第1号。
 新型コロナウイルス感染症により、独立行政法人及び国立大学法人における決算業務等について「遅れが生じ」ている状況認識を示し、独立行政法人通則法において定められた毎年6月末日の財務諸表等の提出期限内に、各独立行政法人が財務諸表等を主務大臣に提出することが「困難となる可能性が高まってい」るとの見通しを示している。その上で、「一部の独立行政法人においては、財務諸表等を7月以降に提出することを検討」している動向に言及しつつ、主務大臣に対して、独立行政法人の財務諸表等の提出及びそれに添付される、会計監査人による会計監査報告の作成期間等について、「独立行政法人の適切な決算作業の進捗」及び「会計監査人における十分な監査期間確保等」の観点から、柔軟な取扱いを要望している。
 なお、この「独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)」を受けて、同年5月7日には、独立行政法人の会計監査人たり得る日本公認会計士協会の会員に対し、担当の常務理事より、「これを契機として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を主眼に置いた決算及び監査のスケジュールを、監査対象法人とコミュニケーション」するよう、依頼がなされている。
 独立行政法人の財務諸表を巡っては、過去、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構の財務諸表が3年間にわたり、主務大臣の承認が得られていなかった状況を、「不正常な状況」として「看過できない」とした参議院の警告決議(「平成20年度決算議決」(平成23年2月16日参議院本会議))の事例もあり、一般的に独立行政法人通則法で定められた財務諸表の提出及び主務大臣の承認については、当然に法定期限のとおり処理すべきとされている。今回の日本公認会計士協会による要望書は、新型コロナウイルス感染症の影響により、この法定期限が達成困難とする状況に対して、特例的な取扱いを求めたものと言える。

※日本公認会計士協会においては、事前に文書による同協会の許諾を得ることなく、公表物等の転載を行うことを禁じており、また著作権法第13条の非保護著作物に該当しないことから、要望書本文の紹介については割愛する。なお、要望書本文については令和2年5月7日付で日本公認会計士協会のウェブサイトに掲載されている。