2018年8月10日金曜日

独立行政法人の役員

 独立行政法人の役員は、法人の長(理事長の名称が使用されるケースが多い)、監事、その他の役員(副理事長や理事の名称が使用されるケースが多い)で構成される。役員の名称や定足数は個別法で規定される。

○職務及び権限
 独立行政法人の長は、「独立行政法人を代表し、その業務を総理する」とされ、業務遂行上の意思決定を担うとされる。
 監事は、独立行政法人の業務を監査するほか、独立行政法人通則法等に基づく書類を調査する。また、監事を除く役員が「不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又はこの法律、個別法若しくは他の法令に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるとき」には、独立行政法人の長と主務大臣に報告する義務を負う。平成26年の独立行政法人通則法の改正により、監事による調査権限などが明記され、機能強化が図られている。
 他の役員の職務及び権限は各独立行政法人ごとに個別法で定めることとされている。なお、具体的な役員(理事)の事務分掌については、
「「独立行政法人の業務の適正を確保するための体制等の整備」について」(平成26年11月26日総務省行政管理局長)により、業務方法書に基づき、独立行政法人において明示し、責任を明確化することが求められている。

○独立行政法人の長及び監事の任命
 独立行政法人の長の任命について、独立行政法人通則法では、①当該独立行政法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者、②当該独立行政法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者のうちから、主務大臣が任命することとされており、その任命にあたっては公募、又は候補者の推薦を求めるなどのプロセスを経ることが定められている。このほか、独立行政法人通則法以外のプロセスとして、
独立行政法人の長の指名について」(平成13年度3月23日官房長官発言)に沿って、閣議口頭了解を経て任命する運用が採られており、一般的には当該閣議後の記者会見にて、独立行政法人の長の任命を公表する慣例が見られている。
 監事の任命についても、独立行政法人の長と同様に主務大臣が行う。任命に際しての公募等のプロセスは理事長と同様である。

○その他の役員の任命
 独立行政法人の長が任命し、主務大臣に届け出る。

○役員公募制
 役員公募制の本格導入は、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」(平成21年9月29日閣議決定)をきっかけとする。「公務員の天下りに対する国民の厳しい批判等を踏まえ、公正で透明な人事を確保する観点」から公務員OB役員の後任者、又は公務員OBの任命を行おうとする場合には、公募による役員の任命を行うこととされた。その後、平成26年の独立行政法人通則法改正により、主務大臣による独立行政法人役員の任命について、公募又は推薦等によることとされた。具体的なプロセスについては、独立行政法人の役員人事に係る任命手続について」(平成26年12月17日内閣官房行政改革推進本部事務局長事務連絡)により、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」に基づく公募、又は「関係機関・団体等への候補者の推薦の求め、外部有識者の意見の聴取等により適任者を選定・確保するよう努め」、「任命理由等の公表」を行うよう、要請されている。
 なお、「中高年期の職員が公務部門で培ってきた専門的な知識・経験を民間等の他分野で活用するとともに、他分野での勤務を経験することにより公務員のコスト意識・現場感覚を高めることを目的とし」、「国への復帰を前提」とする、「大臣の任命権の下」での公務員の独立行政法人に対する出向については、「退職管理基本方針」(平成22年6月22日閣議決定)及び「参議院議員浜田昌良(公明)提出菅内閣による「天下り規制骨抜き」に関する質問に対する答弁書」(平成22年8月10日閣議決定)により、公募の対象としないことを可能とする考えが示されている。

○解任
 独立行政法人の役員は、以下の要件に該当する場合、任命権者(主務大臣又は独立行政法人の長)により解任することができるとされている。

  1. 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき
  2. 職務上の義務違反があるとき
  3. 職務の執行が適当でないため当該独立行政法人の業務の実績が悪化した場合で、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるとき

○継承順位
 独立行政法人の長に事故のあるときの役員の継承順位(代理等)については、個別法及び独立行政法人の長の決定によることとされているが、一般的には副理事長(個別法により設置される場合)、理事、監事(ただし、独立行政法人の長の職務を代理等する場合は、監事の職務は停止する)の順とされることが多い。

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