2018年8月15日水曜日

植民地(独立行政法人)

 独立行政法人を比喩、揶揄した言葉。一般的に独立行政法人が府省の過度な統制化にあるとする立場や、国家公務員の独立行政法人への再就職、現役出向を問題視する立場から使用される。国会では後者の観点での用例が見られ、平成22年4月22日の衆議院内閣委員会(国家公務員法改正案を審査)が国会での初出。同年5月27日の参議院内閣委員会(同じく国家公務員法改正案を審査)では閣僚が使用するに至った。
 同時期の平成22年5月22日には、国土交通省長期固定ローンの供給支援のあり方に関する検討会が有識者の意見を聴取した際に、「独法が主務官庁によるいわば「植民地支配」から脱却することができない、という問題」を取り上げている。当該意見は、内閣官房独立行政法人ガバナンスチーム経験者から示されたもので、「理事長及び理事の人選には独法の主務官庁(の担当部局)の意向が大きく働く」、「独法の事務部門(ヒト・モノ・カネ)を統括する運営局の最高責任者には、主務官庁からの出向者が着任しているケースが多く、また、その他の主要ポストの人選にも主務官庁の意向が大きく反映される」として、「植民地からの脱却を認めたくない主務官庁が大き
な壁となってしまう」ことで独立行政法人の多くが自律的運営ができていないとしている。
独立行政法人の自主性

(参考)
 独立行政法人を植民地になぞらえた用例は以下のとおり。

第174回国会衆議院内閣委員会第9号(平成22年04月22日)(抜粋)
柿澤委員:
 (略)ここまである種役所の植民地みたいな形であった独立行政法人に現役出向させて(略)

○第174回国会参議院内閣委員会第7号(平成22年5月27日)(抜粋)
仙谷国務大臣:
 (略)独立行政法人に行って、それも我々から見ると、少々、こんな人数が必要なのかなと思われるような数の官僚のOBの方々が、みずからの植民地であるかのようにそこに行って支配をして、悪く言うと、何をしているのかわからぬような理事さんとか理事長さんも多々おって、ところが、そこで数年過ごしてまた退職金をもらう、こういうやり方を、果たして独立行政法人のためにもいいのか、国民の生活の利便のためにもいいのかという観点から見ると、独立行政法人がその使命、機能を十分果たすためにどういう人事をするのか、これは所管の大臣の責務だと私は思っております。(略)

○国土交通省第5回長期固定ローンの供給支援のあり方に関する検討会(平成22年5月21日)(抜粋)
発表者:
 (略)理事長が責任のある自律的運営をしようとしても、独法が主務官庁の所轄部署による植民地支配から脱却することができないという問題があります。1つは、がんセンターの場合は違いますけれども、理事長とか理事の人選はやっぱり主務官庁の意向が大きく働くと。それから、ヒト・モノ・カネのそこの事務部長というのは本省からの出向者があたるんですね。そうなると、本省の意向を受けてしまうという傾向がどうしてもあります。

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