2018年11月6日火曜日

独立行政法人及び政府関連公益法人の事業仕分けのための意見募集(ハトミミ.com)

 「独立行政法人及び政府関連公益法人の事業仕訳のための意見募集」とは、平成22年2月から3月にかけて、内閣府行政刷新会議事務局国民の声担当室が、意見募集サイト「ハトミミ.com」において行った意見募集。意見募集の結果は同室と内閣官房行革推進室が取りまとめている。

◯背景
 平成22年1月29日に、当時の鳩山由紀夫内閣総理大臣は、国会において施政方針演説を行い、「「戦後行政の大掃除」は、(略)まだ始まったばかり 」として、「独立行政法人や公益法人が本当に必要なのか、「中抜き」の構造で無駄遣いの温床となっていないか、(略)事業仕分け第二弾を実施」する旨を表明した。
 これを契機に、行政刷新会議では、独立行政法人等を対象とした事業仕訳け第二弾を行うこととし、先立って「独立行政法人(略)の抱える諸問題及び解決方法について、広く」意見募集を行うこととした。

◯意見の募集
 上記を背景に、鳩山内閣において設置された「ハトミミ.com」にて、同年2月23日から3月23日正午にかけて、意見募集がなされた。「ハトミミ.com」において当時示された募集要綱の概要は以下のとおり。

  1. 応募者について特段定めず「どなたでも」応募可とする。
  2. 特に募集する事項は独立行政法人の抜本的な見直しに関し、次のとおり。
  • 事務・事業の見直しについてのご意見・ご提案
  • 組織・管理運営の見直しについてのご意見・ご提案
  • 独法制度そのものに関する横断的見直しについてのご意見・ご提案

◯募集結果
 内閣府行政刷新会議事務局国民の声担当室及び内閣官房行革推進室は同年4月20日に、募集結果を取りまとめ、公表した。独立行政法人及び公益法人に対して全体で859件の意見が寄せられ、うち、独立行政法人に関するものが602件を占めた。同様の手法で意見募集された別テーマ(おかしなルールの見直し(国の規制・制度の改革))が11,714件に登ったことと比較して、低調と言える。
 独立行政法人に関して寄せられた意見の内訳は次のとおり。
  1. 事務・事業の見直しに関するもの205件、35%
  2. 組織・管理運営の見直しに関するもの190件、32%
  3. 独立行政法人制度そのものに関する横断的見直しに関するもの93件、16%
  4. その他103件、17%
 具体的な事例としてまとめられた意見は次のとおり。
  • 重複している事業や(省庁の枠を越えてでも)統合できそうな事業は、独立行 政法人同士で協力して、縮小・統合してスリム化をするべき。
  • 独立行政法人の役員・職員の給与・手当(海外赴任手当等)は、国家公務員 以上に厚遇であると見受けられるものもあり、見直すべき。
  • 各府省からの天下りや、天下り役員が退任した後も居座ることは、無駄の原 因となっており、廃止するべき。
  • 不要となった敷地・施設(例えば、住宅、研修センターなど)は見直し、売却し て国庫に返納させるべき。
  • 関連会社との随意契約が多く見られるが、不透明、不公平な取引関係である だけではなく、 無駄の原因となっており、是正すべき。また、独立行政法人から 関連会社への天下りも禁止すべき。
  • 全98法人を1行政執行法人(国を専門的にサポートする法人)、2技術移転法人、3研究開発法人(分野別統廃合)、4その他の基金管理法人(必要性を 整理し統廃合)に再編すべき。
  • 独立行政法人における自立的なガバナンスを強化するため、監事の責任・権 限を強化する。 例えば、刷新会議等への報告や実績評価プロセスへの参画等 の義務付け、監事の内閣総理大臣任命等を図るべき。
  • 省庁縦割りの中で散立する技術開発支援の独立行政法人は、事業の重複を 検証すべき。技術開発関連予算の形式的な増額はやめるべき。技術開発支援 予算(事業)が各々の独立行政法人の既得権にならぬよう、他の省庁予算で あっても自由に受け取れるような独立行政法人間で受注競争原理を導入して はどうか。
  • 研究系独法と事業系の独法の間には、明確な違いがあるので、仕分けの評 価軸も、費用対効果のタイムラグ、事業規模と要員数、科学的成果の評価、特 許等の産業財産の創出など、研究独法に特有な尺度を入れていくのが妥当と考える。
 報酬給与の妥当性や関連法人との関係是正といった、従来から議論されてきたもののほか、独立行政法人の類型化や研究開発の特性など、後の独立行政法人改革と同様の方向性を志向した意見も見られた。

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