2018年10月24日水曜日

中期計画/中長期計画/事業計画

 主務大臣が指示する目標に沿って、独立行政法人が作成する計画。従来は、この計画を「中期計画」としていたが、平成27年の改正独立行政法人通則法施行後は、独立行政法人の類型ごとに、中期目標管理法人の場合は3~5年の中期目標に基づく「中期計画」を、国立研究開発法人の場合は5~7年の中長期目標に基づく「中長期計画」を、行政執行法人については単年度の年度目標に基づく「事業計画」を策定することとされた。中期計画、中長期計画及び事業計画を総称して「中期計画等」と表記する場合もある。

○起源
 独立行政法人制度の導入を提言した「行政改革会議最終報告」(平成9年12月3日行政改革会議)の段階で、独立行政法人の長は、主務大臣の提示した「中期的目標」に基づく業務計画の案を策定し、主務大臣の認可を受けることとする、との構想がもたれていた。
 主務大臣の提示した目標に基づき、独立行政法人が同目標を達成する「計画」を検討し、主務大臣の認可を受ける、というの考えは、独立行政法人制度の骨格を決定した「中央省庁等改革の推進に関する方針」(平成11年4月27日中央省庁等改革推進本部決定)、及び同年6月に成立した独立行政法人通則法にも継承された。「中央省庁等改革の推進に関する方針」では、中期計画において、「予算、収支計画及び資金計画」や「施設・設備に関する計画、人事に関する計画(人員及び人件費の効率化に関する目標を含む。)その他個別の独立行政法人の業務の性格に応じて定められる計画」を記載することが具体的に示された。
 平成15年の特殊法人等改革に伴い、多くの特殊法人が独立行政法人へと移行する(移行独法)にあたり、特殊法人等改革推進本部参与会議で移行独法の中期計画の案についてもヒアリングを行うこととなった。この特殊法人等改革推進本部参与会議での議論を踏まえ、「独立行政法人の中期目標等の策定指針」(平成15年4月18日行政改革推進事務局)がまとめられた。「独立行政法人の中期目標等の策定指針」では、中期計画について、
  • 中期目標に掲げられた目標を達成するための方策等について具体的な計画を中期計画として定め、自ら定めたその計画に従い、自主性・自律性をもって業務を遂行する
  • 中期計画については、中期目標に従った業務の確実な実施のため事前のコントロールとして、主務大臣による認可を要する
  • 経営資源を最大限活用して、業務運営の効率化やサービスその他の業務の質の向上に具体的にどのように取り組むか、できる限り定量的な計画を設定すべき
といった「中期計画の意義等」が明示されることとなった。

○独立行政法人改革
 平成26年の独立行政法人通則法改正により、法人の類型化に合わせて、主務大臣が提示する目標等の体系が再構築されることとなり、中期目標管理法人の中期目標、国立研究開発法人の中長期目標、行政執行法人の年度目標に応じて、それぞれ中期計画、中長期計画。事業計画を策定することとなった。
 これらの見直しに応じて、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」(平成26年9月2日総務大臣決定)が策定され、中期計画等について、「目標を達成するための具体的手段等(目標を達成するためのより具体的かつ定量的な目標、具体的手段、スケジュール等)が盛り込まれる」ものとされ、したがって、主務大臣の目標が、「法人が定めるべき具体的手段等を拘束することのないよう留意する」旨が示されている。
 さらに、特に国立研究開発法人の中長期計画については、「研究開発成果の最大化に向けた国立研究開発法人の中長期目標の策定及び評価に関する指針」(平成26年7月17日総合科学技術・イノベーション会議)により、
  • 国立研究開発法人の長は、主務大臣が提示する中長期目標に対して、法人としての具体的な戦略、マイルストーン、優先順位等を示した中長期計画を提示する。
  • 研究開発に関する審議会は、中長期目標・中長期計画の策定に際して主務大臣に適切な助言を行うとともに、評価に際しての評価軸(評価の視点)についても主務大臣、国立研究開発法人の長とともに確認し、適切な提言を行う。
  • 主務大臣、国立研究開発法人の長の両者の適切な意思疎通の下にしっかりと練り上げた中長期目標・中長期計画を策定する。
といった考えが示された。

○制定プロセス
 独立行政法人通則法並びに「独立行政法人の目標の策定に関する指針」及び「研究開発成果の最大化に向けた国立研究開発法人の中長期目標の策定及び評価に関する指針」によれば、以下のとおり。
国立研究開発法人の中長期計画については事前に「研究開発に関する審議会」による助言・提言を受ける。※
目標の策定、独立行政法人への指示(目標期間開始前年度の2月下旬目処)
独立行政法人における中期計画等の策定及び主務大臣による認可(目標期間開始前年度の3月末まで)

※独立行政法人通則法及び「独立行政法人の目標の策定に関する指針」においては、中長期計画に対する「研究開発に関する審議会」の関与は明記されていないものの、「研究開発成果の最大化に向けた国立研究開発法人の中長期目標の策定及び評価に関する指針」によれば、「研究開発に関する審議会」が主務大臣に対して助言を行う内容には、国立研究開発法人の中長期計画が含まれることが読み取れる。

○目標で定める事項
 独立行政法人通則法及び各独立行政法人に関する主務省令では、中期計画等では、以下のような事項について記載することが求められている。
  • 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
  • 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
  • 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画(「独立行政法人の中期計画、中長期計画及び事業計画に係る予算等について」(平成27年3月24日総務省行政管理局修正)の整理に沿い記載する
  • 短期借入金の限度額
  • 不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画
  • 不要財産等以外の重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画
  • 剰余金の使途
  • その他主務省令で定める業務運営に関する事項(目標期間を跨ぐ債務負担行為など)

→独立行政法人の中期計画、中長期計画及び事業計画に係る予算等について(平成27年3月24日総務省行政管理局修正)
→中期目標/中長期目標/年度目標
→業務運営効率化目標

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