○起源
独立行政法人制度の導入を提言した「行政改革会議最終報告」(平成9年12月3日行政改革会議)の段階で、独立行政法人の運営については、主務大臣が提示する「中期的目標」の付与により管理する、との構想がもたれていた。さらに、「中期的目標はできる限り数値による目標」とし、「財務、サービス水準の向上、合理化等」について定めるといった、中期目標の原型を読み取ることができる。
中期目標に基づく業務運営を管理の考えは、独立行政法人制度の骨格を決定した「中央省庁等改革の推進に関する方針」(平成11年4月27日中央省庁等改革推進本部決定)、及び同年6月に成立した独立行政法人通則法にも継承された。
平成15年の特殊法人等改革に伴い、多くの特殊法人が独立行政法人へと移行する(移行独法)にあたり、特殊法人等改革推進本部参与会議で移行独法の中期目標案についてヒアリングを行うこととなった。この特殊法人等改革推進本部参与会議での議論を踏まえ、「独立行政法人の中期目標等の策定指針」(平成15年4月18日行政改革推進事務局)がまとめられた。「独立行政法人の中期目標等の策定指針」では、
- 定量的な目標設定
- 中期目標で定める事項(業務運営効率化目標など)
- 具体的な記載例
○独立行政法人改革
平成15年以降、「独立行政法人の中期目標等の策定指針」に沿い、各独立行政法人に対して3~5年ごとに中期目標が制定されてきた。他方で、中期目標が「観念的、抽象的かつ総花的であり、かつ、必ずしも全ての目標について具体性や的確性、明確性が確保されていたわけではなかった」、「実効性の高い目標管理・評価の仕組みが不十分であり、適正かつ厳正な評価の実施や国民に対する説明責任を果たしていない」との指摘がなされた。
このため、平成26年9月26日には、改正独立行政法人通則法に基づく政府統一的な指針として、中期目標管理法人の中期目標、国立研究開発法人の中長期目標、行政執行法人の年度目標について、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」(平成26年9月2日総務大臣決定)が制定された。
「独立行政法人の目標の策定に関する指針」では、中期目標について
- 国の政策体系との関係(主務大臣による的確かつ明確な役割(ミッション)の付与、共有)を冒頭で明示すること
- 一定の事業等のまとまり(原則として、評価単位や予算決算のセグメントに対応する)ごとの目標設定
- 国民に対し、「どのような目的及び必要性の下、何に基づき」、「いつまでに」、「何について、どのような水準を実現するのか」を分かりやすく明示すること
- できる限り定量的であること、やむを得ず定性的な目標を定める場合には、、関連した定量的な指標及び当該指標の達成水準を具体的かつ明確に定めること
- 重要度、優先度及び難易度並びにその理由の明示など、トレードオフ関係の目標を設定する場合の順位明示
- 国立研究開発法人については、ハイリスク・ハイリターンに挑戦するような目標等の設定、中長期目標期間を超えた時間軸を視野に入れること、アウトカム(研究開発活動の国や社会に対する効果)との関連、評価軸・評価指標等の設定
○制定プロセス
独立行政法人通則法や「独立行政法人の目標の策定に関する指針」によれば、以下のとおり。
- 国立研究開発法人の中長期目標については事前に「研究開発に関する審議会」による助言・提言を受ける。
- 財務大臣との間における目標案の協議
- 独立行政法人評価制度委員会によるチェック(目標期間開始前年度の1月上旬目処)
- 目標の策定、独立行政法人への指示(目標期間開始前年度の2月下旬目処)
○目標で定める事項
中期目標:
- 中期目標の期間(前項の期間の範囲内で主務大臣が定める期間をいう。以下同じ。)
- 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
- 業務運営の効率化に関する事項
- 財務内容の改善に関する事項
- その他業務運営に関する重要事項
中長期目標:
- 中長期目標の期間(前項の期間の範囲内で主務大臣が定める期間をいう。以下同じ。)
- 研究開発の成果の最大化その他の業務の質の向上に関する事項
- 業務運営の効率化に関する事項
- 財務内容の改善に関する事項
- その他業務運営に関する重要事項
年度目標
- 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
- 業務運営の効率化に関する事項
- 財務内容の改善に関する事項
- その他業務運営に関する重要事項
→目標策定の際に考慮すべき視点並びに目標及び指標の記載例について(平成26年9月2日総務省行政管理局長)(総管査第254号)(一部旧文書)
→「目標及び指標の記載例」の改定について(平成27年5月25日総務省行政管理局長改定)(総管査第139号)
→業務運営効率化目標
→十月一日に設立される独立行政法人の中期目標等について(平成15年8月1日行政改革担当大臣発言要旨)
→横並び行政法人(独立行政法人)
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