2019年12月4日水曜日

国家公務員の独立行政法人役員への現役出向

 「中高年期の職員が公務部門で培ってきた専門的な知識・経験を民間等の他分野で活用するとともに、他分野での勤務を経験することにより公務員のコスト意識・現場感覚を高めることを目的とし」て、「国への復帰を前提」とする、「大臣の任命権の下」での国家公務員の独立行政法人に対する出向のこと。外形上、「退職」の形態により、国家公務員の身分を一時的に喪失した上で、独立行政法人に出向する。「国への復帰を前提」とするため、出向及び復帰に伴う退職手当等は支給されない。

◯効果と検証
 大臣が現役出向を任命する想定メリットとして「参議院議員桜内文城(みんな)提出国家公務員の退職管理に関する質問に対する答弁書」(平成22年8月20日閣議決定)では、「大臣の意向を踏まえて、出向先の」独立行政法人の「業務の効率化や無駄の排除に取り組むことが可能となると想定され」るとの具体的な想定例が示されている。
 他方で、国土交通省長期固定ローンの供給支援のあり方に関する検討会においては、「独法の事務部門(ヒト・モノ・カネ)を統括する運営局の最高責任者には、主務官庁からの出向者が着任しているケースが多く、また、その他の主要ポストの人選にも主務官庁の意向が大きく反映される」として、現役出向等を通じて「主務官庁によるいわば「植民地支配」から脱却することができない」状態にあるとの指摘が見られている。
 また、「大臣の任命権」に基づく現役出向が独立行政法人の業務運営に具体的な影響を与えた事例としては、「主務省の都合」により、独立行政法人の理事の空席状態が続き、理事長及び監事のみで独立行政法人の経営にあたった事例が見られている。これについて、令和元年8月2日の第22回総務省独立行政法人評価制度委員会では、「そもそも独立行政法人ですので、主務省の異動でそのような空席みたいなことがあってはならない」との指摘が見られている。

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