独立行政法人における監事監査及び会計検査人監査並びに独立行政法人内部の監査の総称。総務省独立行政法人評価制度委員会等で用例が見られている。
〇位置づけ
独立行政法人通則法においては、「監事は、独立行政法人の業務を監査する」とされているほか、(政令で定める基準以上の独立行政法人について)会計監査人が監査を行うこととされている。これら、法定の監査に加え、「「独立行政法人の業務の適正を確保するための体制等の整備」について」(平成26年11月28日総管査第322号総務省行政管理局長)では、「業務方法書に記載すべき内部統制システム」の一環として内部監査に係る措置が業務方法書事項であることを明らかにしている。
〇相互関係
「「独立行政法人の業務の適正を確保するための体制等の整備」について」では、監事と会計監査人、及び監事と内部監査部門との連携が掲げられており、いわば独立行政法人の内部統制システム上は監事を核として、「三様監査」の担い手が連携するよう制度設計がなされていると言える。なお、独立行政法人において監事直属の補佐職員が置かれていない場合には、内部監査部門の職員を臨時に監事監査要員に充てる事例もおり、人的・体制面においても、監事監査と内部監査は密接な傾向が見られている。また、会計監査人は監事に対して、報告義務を持つことが独立行政法人通則法に規定されている。
他方で、各独立行政法人の監事等が自ら定めた「監事監査指針」(平成26年12月19日独立行政法人、特殊法人等監事連絡会)においては、会計監査人の監査を監事が監視する立場にある旨が示されており、前述の会計監査人の監事に対する報告義務と合わせて、厳密には会計監査人と監事は対等の立場にはなく、監事が優越する立場にあると言える。
加えて、内部監査については「独立行政法人の業務」の一環として行われるものであることから、当然に、監事の監査対象には内部監査部門も含まれると解される。従って、監事と内部監査部門は、法律に基づく監査側(監事)と被監査側(内部監査部門)の関係と、業務方法書に基づく監査にあたって相互に連携する関係の二面性を持つ、と言えるが、万一、監事と内部監査部門の利害が対立した場合には当然に前者の関係(法律に基づく監査関係)が優先されると考えられる。
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