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2020年7月14日火曜日

出勤者削減の取組など新型コロナウイルス感染症の影響に伴う独立行政法人通則法において期日までに主務大臣宛てに提出することとされている書類の取扱いについて(令和2年4月17日総務省行政管理局管理官(独立行政法人制度総括担当)・管理官(独立行政法人評価総括担当)事務連絡)

 「出勤者削減の取組など新型コロナウイルス感染症の影響に伴う独立行政法人通則法において期日までに主務大臣宛てに提出することとされている書類の取扱いについて」(令和2年4月17日総務省行政管理局管理官(独立行政法人制度総括担当)・管理官(独立行政法人評価総括担当)事務連絡)は、令和2年に総務省行政管理局の管理官(独立行政法人制度総括担当)及び管理官(独立行政法人評価総括担当)の連名により、各府省担当課長宛に発出された事務連絡。新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)に基づく緊急事態宣言の発出等に伴い、各独立行政法人における「出勤者7割削減」に「可能な範囲で最大限取り組んでいただくよう」依頼するとともに、独立行政法人通則法に基づく財務諸表及び業務実績報告書等の提出書類の取扱いを示し、各独立行政法人に周知するよう求めている。
 独立行政法人通則法においては、6月末日を期限として、前年度の財務諸表や業務実績報告書を提出するよう求めているところ。今回、「出勤者削減の取組など新型コロナウイルス感染症の影響に伴う独立行政法人通則法において期日までに主務大臣宛てに提出することとされている書類の取扱いについて」では、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言に伴う出勤者削減の影響を勘案して、「期限内に履行されなかった義務に係る免責に関する措置」に係る政令が制定された場合、又はこれが制定されなかった場合を見越し、法定の期限に対する猶予措置の余地を示している。
 なお、独立行政法人通則法に基づく法定提出期限を巡っては、独立行政法人の監査人業務を担う立場で、日本公認会計士協会より、財務諸表等の期限の柔軟な取扱いを求めた「独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)」(令和2年5月1日日本公認会計士協会会長)(非営利2020第1号)が各主務大臣に対して提出されている。今般の新型コロナウイルス感染症に伴う独立行政法人通則法の法定期限への対応については制度官庁及び監査人ともに、柔軟な取扱いを認めたものと言える。
 
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2020年3月5日木曜日

1+1が2ではなくて3か4になる(独立行政法人)

 独立行政法人が他者と連携して、専門性を活かしてお互いに補完しあいながら相乗的に効果を発揮していく様を期待した表現。進藤金日子総務大臣政務官が令和元年11月21日の第24回独立行政法人評価制度委員会で提唱した。具体的には、「関係機関・団体と連携して、専門性をいかしてお互いに補完しあいながら、さらに、1+1が2ではなくて3か4になるような、掛け算でやっていくような協働体制を確立していくこと、これが非常に重要だろう」との認識を示している。
 総務省独立行政法人評価制度委員会では、独立行政法人と地方公共団体との連携、又は独立行政法人間の連携・相互補完について議論が重ねられている。この「1+1が2ではなくて3か4になる」ような協働体制への期待も、これに即したものと考えられる。

2019年11月27日水曜日

脱自前主義

 独立行政法人評価制度委員会が令和元年11月21日に提唱した、中(長)期目標の検討に関する「留意事項」の一つ。従来の、独立行政法人内部ですべてを賄おうとする「自前主義」を脱し、独立行政法人単独での事務・事業の実施に限らず、府省や他の独立行政法人、地方公共団体等との協働体制の確立・強化が必要としたもの。具体的な取り組み例としては、「オープンイノベーションの推進」などがこれに該当する。

2019年10月23日水曜日

調達等合理化計画の策定及び評価に関する留意点について(平成28年2月2日総務省行政管理局長事務連絡)

 「調達等合理化計画の策定及び評価に関する留意点について」(平成28年2月2日総務省行政管理局長事務連絡)は、平成28年に総務省行政管理局長から各府省大臣官房長宛に発出された事務連絡。前年の「独立行政法人における調達等合理化の取組の推進について」(平成27年5月25日総務大臣決定)により整備された、独立行政法人における調達合理化の取り組みについて、平成28年に初めて主務大臣による評価が行われることなどを見越して、「各主務大臣による評価が着実に実施されるよう、留意すべき点や着眼点を取りまとめた」もの。各府省から各独立行政法人に対し、「調達等合理化計画の策定及び評価に関する留意点について」を踏まえた取組の実施について要請するよう求めている。
 調達等合理化計画は年度毎に独立行政法人が制定するもので、当該年度終了の翌年度、主務大臣において独立行政法人評価の一環として、同計画に基づく調達等合理化の取り組みを評価することとされている。「調達等合理化計画の策定及び評価に関する留意点について」では、この制定及び評価のプロセスについて、以下のような「留意すべき点や着眼点」を示している。
 
〇調達等合理化計画の策定における目標設定等
  • 達成することが明らかに不可能な目標や明らかに容易に達成できる目標を設定していた場合は、目標の設定を抜本的に見直すこと
  • 国の調達改善における取組事例を可能な限り参考にすること
  • これまで会計検査院等が指摘した事項については、他の独立行政法人に対する指摘であっても、これを踏まえること
  • 中期目標又は中長期目標における「業務運営の効率化に関する事項」等に掲げられた調達に関する目標の記載事項を踏まえて、調達等合理化計画の目標を設定すること
 
〇主務大臣による年度評価等における評定について
  • 各独立行政法人の創意工夫による独自の取組により、具体的な成果が認められたものについては、評価書に記載し、積極的に評価を行う。ただし、当初設定した目標を達成していない場合や、目標の達成度合いを評価できない場合は、標準未満の評定となる。
  • 調達に関するガバナンスの徹底について、具体的な改善効果が認められれば積極的に評価を行う。ただし、記載した取組を実際に実施していない場合は、標準未満の評定となる。
  • 会計検査院等の指摘に基づき、調達等合理化計画を改定するなど、改善のための措置を具体的に講じている場合は、積極的に評価を行う。
 
 
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2019年10月15日火曜日

独立行政法人における役員空席

 独立行政法人は、個別法の定めるところにより、独立行政法人の長(多くの場合理事長)及び監事並びにその他の役員(副理事長や理事など)を置くこととされている。ほとんどの個別法においては、独立行政法人の長及び監事について「置くものとする」と明確に定数を規定している他方、その他の役員については、上限人数を定める「できる規定」(例として、「役員として、「副理事長〇人及び理事〇人以内を置くことができる」)とされるケースが多く、原理的には、独立行政法人の長は特に理事を任命せず自らと監事のみで独立行政法人を経営することが可能と解される。
 
〇事例
 独立行政法人において独立行政法人の長及び監事を除く役員が空席となったケースとしては、平成30年度の独立行政法人経済産業研究所の事例が見られている。個別法である独立行政法人経済産業研究所法では、2名を上限として理事を置くことが「できる」とされているところ、理事長はこの「できる規定」に基づく任命権を行使しないこととし、7ヶ月間、自らと監事のみにより独立行政法人の経営を担ったとされている。この理事空席の7ヶ月間について、令和元年8月2日の第22回総務省独立行政法人評価制度委員会においては、以下のような事情が明らかにされている。
  • 主務省の都合(経済産業省=独立行政法人経済産業研究所間の出向による人事措置)により、理事が空席となったこと
  • 理事長を補佐する理事が空席となったことに伴い、理事長及び監事のみで「理事会」を開催する状況にあったこと
 
〇論点
 この理事空白の7ヶ月間について、独立行政法人評価制度委員会における議論のほか、独立行政法人通則法等に照らして、以下のような論点が考えられる。
 
経済産業省における人事措置を待たず、理事長が任命権を行使して、独立行政法人経済産業研究所内外から理事を任命することの可否
  • 理事の任命権は理事長が有しているところ。仮に、経済産業省からの出向者が当該理事のポストに就くことが常態化していたとしても、これは不文律に基づく措置であることから、原理上は理事長が職員又は民間の人材を理事を登用することで、理事空席を回避することが可能であったことが指摘されている。
  • ただし、国家公務員の独立行政法人役員への出向については、「大臣の任命権の下」で行われる旨、「退職管理基本方針」(平成22年6月22日閣議決定)及び「参議院議員浜田昌良(公明)提出菅内閣による「天下り規制骨抜き」に関する質問に対する答弁書」(平成22年8月10日閣議決定)により示されていることから、理事長の役員任命権と、大臣の国家公務員に対する出向の任命権の関係については慎重な検討を要する。また、本質的な要素ではないものの、国家公務員からの出向者については「国への復帰を前提」としているところ、独立行政法人を退職する場合の退職手当は発生しないものの、職員又は民間の人材から理事を登用した場合には、退職手当を支払う必要から新たな費用負担が生じる可能性にも留意する必要がある。
  • なお、独立行政法人評価制度委員会においては、「そもそも独立行政法人ですので、主務省の異動でそのような空席みたいなことがあってはならない」、「そう(出向による役員人事の手配がつかない)であれば理事の方はやはり民間から起用すべき」といった意見が見られている。
 
理事を空席とすること自体について
  • 独立行政法人の役員の上限数については、個別法ごとに定められており、独立行政法人毎に区々となっている。このため、個別法の検討過程においては各独立行政法人の規模や業務内容を勘案し、理事長に必要な補佐を確保する上での「一定の分掌水準」として役員の上限数が算定されていると考えることが自然と考えられる。
  • 独立行政法人の長に事故のある又は欠員の場合、代行権の継承順は、その他の役員(副理事長を置く法人については副理事長、次いで理事)、監事の順となる。独立行政法人経済産業研究所の場合は、個別法により理事長、理事、監事の順とされているが、理事の空席に伴い、直ちに監事が代行権第一位となる。なお、独立行政法人経済産業研究所の監事2名についてはいずれも非常勤である旨が公表されている。
  • なお、独立行政法人経済産業研究所の平成30年度の自己評価書によれば、「内部統制」について特に課題等はなく、計画どおりの水準で実施されたとされている。

2019年8月29日木曜日

総人件費改革(独立行政法人)

 「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成18年法律第47号、行革推進法)及び「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)に基づき行われた、我が国の公的部門における、人件費削減の取組のこと。独立行政法人に対しては、平成18年度から平成22年度にかけての5年間に平成17年度における水準から5%以上の人件費を削除することが基本とされた。さらに、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)による平成23年度までの期間延長を経て、独立行政法人における総人件費改革は完了した(内閣官房行政改革推進本部事務局調べ)とされている。

(前史)
 平成17年において、経済財政諮問会議では公的部門における総人件費について、「国家公務員総人件費の対GDP比を10年で概ね半減させるという長期的な目安」を掲げ、「官のリストラ努力について国民の理解を得られるよう、あらゆる手段を駆使して改革を断行」すべし、との議論がなされていた。これは、「総人件費改革基本指針」(平成17年11月14日経済財政諮問会議)としてまとめられ、独立行政法人についても、「公務員に準じた人件費削減の取組みを行う」こととされ、「独立行政法人等に対する補助金や運営費交付金を抑制するよう見直す」旨が示された。
 この経済財政諮問会議の決定に基づく総人件費改革の具体的な実行計画にあたる、「行政改革の重要方針」においては、各独立行政法人ごとに、「国家公務員に準じた人件費削減の取組を行うことを中期目標において示」すこと、及び「今後5年間で5%以上の人件費を削減することを基本とする」こと、及び独立行政法人の長の責任においてこれらの取組を中期計画に反映する旨が示された。中期計画への反映は、「公的部門における総人件費改革の取組について」(平成18年1月25日内閣官房行政改革推進事務局・総務省大臣官房管理室・総務省行政管理局・財務省主計局)により平成17年度中に行うこととされた。なお、平成18年度に入り、総人件費改革を規定した行革推進法が成立したことで、これらの措置は法定事項化されれいる。

(削減方法)
 「公的部門における総人件費改革の取組について」においては、人件費予算そのものを5%削減する、又は定員を5%削減するか、いずれかの方法による考えが示されている。これを中期計画に明記し、主務大臣の認可を受けた上で、各年度の進捗や達成度合いについては、各府省の独立行政法人評価委員会による事後評価を受けることとされた。なお、事後評価にあたっては、総人件費改革の直接の対象となる範囲(任期のない役職員全てと任期付役職員の一部)における進捗や達成度合いを開示するほか、後述の適用除外となる範囲を含めた、当該独立行政法人全体における人件費の状況について開示することとされた。

(適用除外)
 「公的部門における総人件費改革の取組について」以降、「公的部門における総人件費改革について(独立行政法人関係)」(平成18年2月14日内閣官房行政改革推進事務局・総務省行政管理局・財務省主計局)において具体的な解説がなされたほか、「イノベーション25」(平成19年6月1日閣議決定)や「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」(平成20年法第65号、旧研究開発力強化法)等の政策的要求に対応する過程で、特に任期付職員の雇用を通じたインセンティブ(競争的資金の獲得や民間からの外部資金の受け入れ増大等の財政基盤安定化、若手研究者の雇用確保など)を与える分野については適用除外を行う旨が明らかにされている。具体的な時系列は以下のとおり。

  • 平成18年4月 競争的研究資金により雇用される任期付職員について適用除外とした(総人件費改革開始当初からの適用除外)
  • 平成20年2月 受託研究、共同研究のための民間からの外部資金により雇用される任期付職員を適用除外に追加(「イノベーション25」への対応)
  • 平成20年10月若手研究者等を適用除外に追加(「旧研究開発力強化法」に基づく)

(効果と影響)
 総務省行政管理局の発表によれば、平成23年までの総人件費改革による効果は以下のとおりと集計されている。いずれも目標値の5%削減の倍以上の効果を獲得している。
  • 人件費を削減するとした78の独立行政法人においては、平成17年度比で10.5%の削減
  • 人員数を削減するとした16の独立行政法人においては、同13.5%の人員減少

 他方、総人件費改革が進むにつれ、以下のような懸念、弊害も指摘されている。
  • 独立行政法人国際観光振興機構においては、目標値の4倍、独立行政法人全体平均の倍近い、19.9%の削減を得た。これに対して国土交通省独立行政法人評価委員会においては、「モラルの低下にならないよう注意が必要」「大卒・大学院卒の職員が多く、その中で人件費削減には自ずと限度がある」といった意見が見られている。
  • 文部科学省科学技術・学術審議会総合政策特別委員会においては、総人件費改革後の独立行政法人における定員管理も含め、「民間企業で言えば、自分たちの予算の中で人材に割り振るのか、そうではないところに割り振るのかということは裁量に任されておりますが、研究開発法人、国立大学法人は定数に縛られており、そういう意味で、イノベーションを起こしていくのに、定数に縛られている今の形が本当に良いのか」との意見が見られている。
  • 研究開発法人においては、研究者の招聘や内部人材の引きとめに影響があり、研究開発法人職員に対し、海外企業から数千万円規模での引抜きオファーがなされた事例が確認(平成25年10月、経済産業省産業技術環境局調べ)されているほか、若手研究者、ポスドク、研究支援人材の確保が困難などの影響(前同)が見られている。

 総人件費改革の完了後、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)においては、独立行政法人の人件費について、中期計画の認可を通じて国が関与しつつ、「柔軟な報酬・給与制度の導入」を促進する旨が示されている。

2019年8月21日水曜日

特殊法人等改革の推進等について(平成14年7月9日内閣総理大臣発言要旨)

 「特殊法人等改革の推進等について」(平成14年7月9日内閣総理大臣発言要旨)は、小泉純一郎内閣総理大臣(当時)が平成14年7月9日に開催された閣僚懇談会で発言したとされるもの。当時「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づき予定されていた特殊法人の独立行政法人への移行(移行独法)を見据え、「特殊法人等整理合理化計画」の具体化を「一層強力に進めなければならない」としたもの。加えて、当時既に設置済みであった独立行政法人(先行独法)の独立行政法人評価について、「特殊法人等改革の実効性を示す試金石として国民の厳しい目が向けられている」との認識を示し、独立行政法人評価の結果を「法人の運営、役員人事・報酬、予算等に速やかに反映する」こと、及び独立行政法人評価の結果やその反映状況について「国民にわかりやすい形で、積極的に公表」することを求めている。発言の具体的要旨は、特殊法人等改革推進本部参与会議にて公開された。

(解説)
 「特殊法人等改革の推進等について」に先立ち、既に、中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)の第38条第5項では、「独立行政法人の業務については、その実績に関する評価の結果に基づき、業務運営の改善等の所要の措置を講ずる」とする規定が設けられていた。したがって、「特殊法人等改革の推進等について」はその「所要の措置」について一層具体的な要求を示したものと言える。現に、独立行政法人農畜産業振興機構においては、この「特殊法人等改革の推進等について」を根拠に、毎年の独立行政法人評価の結果の予算等への反映状況を公表するといった事例が見られている。
 平成25年から平成27年にかけての独立行政法人改革においては、「特殊法人等改革の推進等について」と同様の取り組みについて、法制化を含め、明文化・制度化が図られた。具体的には、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)において、独立行政法人は独立行政法人評価の結果を「活用し、主務大臣から指示された目標の達成に向け、計画の見直しなど必要な業務運営の改善を図る」とともに、独立行政法人評価の「結果の反映状況を毎年度公表する」旨が示された。さらに、平成27年4月に施行された改正独立行政法人通則法においては、第28条の4に、「評価結果の取扱い等」に関する規定が設けられ、独立行政法人評価の結果について独立行政法人の計画や業務運営の改善に「適切に反映させるとともに、毎年度、評価結果の反映状況を公表しなければならない」として、独立行政法人にその義務を課すこととされた。

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2019年8月6日火曜日

総合評定

 独立行政法人の業務実績については、毎年度、主務大臣による評価を受ける(いわゆる「年度評価」。)こととされているほか、中期目標管理法人及び国立研究開発法人に対しは、目標期間終了前年度のいわゆる「見込み評価」、目標期間を通じての業務実績を評価するいわゆる「期末評価」を行うこととされている。これらの評価結果については、評価単位(≒一定の事業等のまとまり)に合わせて行う項目別評定と、項目別評定を基礎とし法人全体を評価する総合評定によって構成されている。すなわち、総合評定は、個々の独立行政法人全体のパフォーマンスを表す指標と言える。
 総合評定はS、A、B、C及びDの5段階により示されており、中期目標管理法人及び行政執行法人とそれ以外の国立研究開発法人との間で定義ぶりが異なるものの、おおむね、Sについては「特に顕著な成果(国立研究開発法人については期待を含む)」、Aについては「顕著な成果(前同)」、Bが「おおむね初期の目標を達成」とされており、Cについては「改善を要する(国立研究開発法人については工夫、改善等を期待)」、Dについては「抜本的な改善を求める(国立研究開発法人については特段の工夫、改善を求める)」と大別される。会計検査院が平成26年度から29年度における各独立行政法人の年度評価における総合評定をまとめたところによれば、中期目標管理法人及び行政執行法人についてはいずれの年度も「B評定」が最多となっており、国立研究開発法人については平成27年度を除き「A評定」が最多となっている。
 一般的に目標水準以下とされる、総合評定がC又はD評定となった事例については以下のとおり。これらの事例を踏まえると、一部に目標水準以下の要改善事項が見受けられ全体の評定も引き下げることとなった事例や、独立行政法人日本スポーツ振興センターや独立行政法人自動車技術総合機構の事例のように、特に社会的な影響度合い又は目標に対する要改善事項の重要度合いに応じて評定が引き下げられたケースが伺える。
  • 独立行政法人造幣局の平成27年度における業務実績に関し、「コンプライアンス、リスク管理及び人事管理について問題があり、法人全体の信用を失墜させる事態を生じさせたことは、国民生活の基盤となる貨幣を製造している法人として重く受け止める必要」がある、とされたことから、財務大臣が当該年度の総合評定をC評定とした事例。
  • 独立行政法人日本スポーツ振興センターの平成26年度及び27年度それぞれにおける業務実績に関し、「新国立競技場整備計画検証委員会」による指摘などがみられたたことから、文部科学大臣が26年度の総合評定をD評定、27年度のそれをC評定とした事例。
  • 独立行政法人農業者年金基金の平成26年度における業務実績に関し、「不適正な給付事務となるリスク認識が不十分」であったことや「平成26年度新規加入者実績が過去8カ年において最低水準となった」ことなどを踏まえ、厚生労働大臣及び農林水産大臣が当該年度の総合評定をC評定とした事例。
  • 独立行政法人自動車技術総合機構(旧自動車検査独立行政法人)の平成27年度における業務実績に関し、「神奈川事務所事案」の発生等を踏まえ、国土交通大臣が当該年度の総合評定をC評定とした事例。
 以上のうち、特に独立行政法人日本スポーツ振興センターについては、現行の評価制度において初めて「所期の目標を下回っており、業務の廃止を含めた抜本的な改善を求める。」とされた事例といえる。
→主務大臣評価/独立行政法人評価
→研究開発に関するに関する審議会/国立研究開発法人審議会/日本医療研究開発機構審議会/宇宙政策委員会(独立行政法人評価)
→独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について(平成30年3月30日総務省行政管理局)

2019年7月1日月曜日

各省庁の「子会社というか実務担当」(独立行政法人)

 平成30年2月19日の総務省第15回独立行政法人評価制度委員会において見られた表現例。一部委員から独立行政法人評価に携わっての感想として示されたもの。具体的には、委員として就任して約1年間評価に携わったことを振り返り、「各省庁がこういった法人を子会社というか実務担当で置いているということに関しては、非常に勉強させていただきました」との感想を述べてたもの。

○解説
 前後の文脈は、独立行政法人を「活性化させていただいて、より国民のためになるような社会にしてほしい」、「実務部隊にどんどん出ていっていただいて、逆に主務省を動かすぐらいの話になっていただけると非常に面白い」と独立行政法人全般に対して好意的なものであり、特段の悪意は認められない。
 しかしながら、発言中、独立行政法人を省庁の「子会社」になぞらえている箇所については、主務大臣と独立行政法人の関係について、会社法会社における親会社・子会社の関係に類似するものとして誤解して捉えている可能性が否めない。独立行政法人制度における擬似契約関係(目標・計画を介した約束の取り交わし、主務大臣による予算措置に対する独立行政法人の業務実施)や、設置根拠(国会で審議された法律に基づき主務大臣の指定及び独立行政法人の設置がなされることから、親会社の意思のみで設立可能な子会社と設置要件が異なる)、独立行政法人通則法の「独立行政法人の自主性」に関する規定などを踏まえると、独立行政法人をして省庁の「子会社」として位置づけることは、必ずしも正確な表現とは言い切れない可能性がある。
 なお、省庁の「実務担当」とする認識については、独立行政法人の趣旨(行政における企画部門から独立した実施機関を設ける)に合致していると考えられる。
→独立行政法人の自主性
→植民地(独立行政法人)
→まな板のコイ/「独立」とは名ばかり(研究開発法人)
→擬似契約関係

2019年6月28日金曜日

独立行政法人と東京オリンピック・パラリンピック競技大会

 令和2年度に予定されている東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関して、「オリンピックスタジアム」として位置づけられている新国立競技場は、独立行政法人日本スポーツ振興センターが設置者として位置づけられている。
 このほか、平成30年1月29日の総務省第14回独立行政法人評価制度委員会においては、委員から「少しでも関係があれば、2020年東京オリンピック・パラリンピックというものを、マイルストーンとして、そこまでに何をやるのかということの目標への積極的な記述、あるいは内部目標の設定に心がけていただければ、非常に分かりやすくなるのではないか」として独立行政法人の事業計画において積極的に言及するよう指摘が見られている。なお、独立行政法人評価制度委員会は、独立行政法人日本芸術文化振興会、独立行政法人情報処理推進機構、及び独立行政法人国民生活センターの各中期目標案において、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組を強化する旨が記載されて」いる旨を確認している。

2019年6月24日月曜日

独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について(平成30年3月30日総務省行政管理局)

 「独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について」(平成30年3月30日総務省行政管理局)は、平成30年3月30日に総務省行政管理局が「定めた」もの。宛先等は特段明記されていない。従来、独立行政法人が主務大臣から認定を受ける「経営努力認定」の基準を示してきた「独立行政法人の経営努力認定について」(平成18年7月21日総務省行政管理局)に代わって、「経営努力認定の一般的な考え方を示」した基準と位置づけられている。
 独立行政法人通則法において、独立行政法人の毎年度の活動により生じた利益の残余については、「積立金」として整理することとされている。本来、積立金は目標期間修了時点で国庫納付されることとされているが、この積立金が「独立行政法人の経営努力の成果である」と主務大臣の認定(いわゆる経営努力認定)を受けた場合には、積立金のうち一定の割合(原則5割)について、中期計画又は中長期計画で認可を受けた目的に充当することが可能とされている。
 しかしながら、平成28年度決算において、経営努力認定を申請した独立行政法人が9法人に留まり、かつ実際に経営努力認定を受けた独立行政法人は8法人に留まるなど経営努力認定の活用が「低調な状況」(総務省行政管理局)に留まっており、独立行政法人からは「認定要件が厳しすぎ、労力に見合わず申請を見送った」といった意見が見られた。この状況を受けて、総務省及び内閣府において検討会を設置し、運用の改善を検討した結果として、「独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について」では、独立行政法人の「主体的な経営努力を促進するインセンティブが機能するよう運用を改善していく必要がある」との認識のもと、経営努力に該当する金額の満額を利用可能とするなど緩和された経営努力認定の要件について考え方を示している。


○要旨

  • 独立行政法人が主務大臣に経営努力認定の申請を行う際には、主務大臣の評価結果において「総合評定がB以上であること」をはじめとして、評価結果において計画どおり以上の成果が認められる必要がある。
  • ただし、国立研究開発法人については、研究開発に関する審議会において、研究開発業務の特性(長期性、不確実性、予見不可能性、専門性)に起因して計画が未達となったことが認められた場合、要件を満たしうるものとされる場合がある。
  • 自己収入(運営費交付金及び国又は地方公共団体からの補助金等の国民負担に帰さない収益で、国又は地方公共団体からの受託収入は含む)から生じた利益については、経常収益に基づくものなどで、目標期間相当の平均実績を上回る場合には、10割を経営努力として認定する例外的取り扱いとする。
  • 業務の未実施や中止等によらない、運営費交付金で賄う経費の節減に関しては、5割を経営努力として認める。
  • さらに、国立研究開発法人については、主務大臣評価の結果において「総合評定がAである場合(後述の10割が認定される場合を除く)」7.5割を、「Sである場合」や「Aである場合で、かつ個別の項目についても半数以上がA評定となっている場合」には10割を経営努力として認める。
  • 中期目標管理法人及び国立研究開発法人においては、毎年度の自己評価書において積立金や運営費交付金債務などの状況を明らかにすること。

○その他解釈事項
 「独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について」を以って、「独立行政法人の経営努力認定について」(平成18年7月21日総務省行政管理局)を廃止することとされている。これは、当該平成18年の原文書に限らず、「独立行政法人の経営努力認定について」(平成26年6月27日総務省行政管理局)をはじめとして、その後の改訂分も含めて廃止されたものと解するのが妥当と考えられる。

→運営費交付金債務
→主務大臣評価/独立行政法人評価
→業務実績報告書/自己評価書/内部評価資料
→業務運営効率化目標

本文:

「独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について」(平成30年3月30日総務省行政管理局)

2019年4月23日火曜日

「独立行政法人における情報セキュリティ対策の推進について」(平成26年6月25日情報セキュリティ対策推進会議)

 「独立行政法人における情報セキュリティ対策の推進について」(平成26年6月25日情報セキュリティ対策推進会議)は、平成26年に情報セキュリティ対策推進会議が定めた文書。「独立行政法人においても政府機関と同様、国の重要な情報に相当する情報が取り扱われているところ、昨今のサイバー攻撃事案において、独立行政法人が標的となっている事例が複数判明している」との認識を示し、平成27年度からの改正独立行政法人通則法施行を踏まえつつ、速やかな対策を講じることとしたもの。独立行政法人の目標(主務大臣が独立行政法人に指示する、中期目標管理法人の中期目標、国立研究開発法人の中長期目標又は行政執行法人の年度目標。以下同じ。)及び年度計画等における、情報セキュリティ関連の記載事項を指定した指針としても該当する。
 独立行政法人の年度計画(行政執行法人においては事業計画)において、「情報セキュリティ・ポリシーを定めるとともに、これに基づき情報セキュリティ対策を講ずる旨、盛り込むこと」、またその根拠として、目標においても「情報セキュリティ対策を講ずる旨、盛り込むこと」、実効性のあるインシデント情報共有体制の構築、独立行政法人評価における実効性のあるインシデント情報共有体制の構築などの措置を提示している。
 独立行政法人の事業計画における、特定分野に関する記載事項を指定した例としては、「独立行政法人における情報セキュリティ対策の推進について」のほか、「政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて」も該当するが、これと比較して「独立行政法人における情報セキュリティ対策の推進について」の方が独立行政法人制度との整合(事業計画間の関係や主務大臣と独立行政法人の長との擬似契約関係との整合等)した記述ぶりとなっていると言える。
→中期目標/中長期目標/年度目標
→年度計画
→政府におけるサイバー攻撃への迅速・的確な対処について(平成25年6月19日情報セキュリティ対策推進会議決定)
→政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて(平成30年2月7日まち・ひと・しごと創生本部事務局)

本文:
「独立行政法人における情報セキュリティ対策の推進について」(平成26年6月25日情報セキュリティ対策推進会議)

2019年4月19日金曜日

評価疲れ

 「評価作業によって、過度の事務負担」「多層的な評価による作業負担」が発生することや、「評価結果が活用されないこと等」により「徒労感」が発生する、事象のこと。従来、民間企業における「業績評価疲れ」や、大学評価に伴う事務負担の増大等に対して使用されるなど、評価疲れを巡る議論は、これらの方が先行していると見られるが、近年では、独立行政法人評価や研究開発評価を巡っても用例が見られる。
 独立行政法人における「評価疲れ」の初出は、遅くとも平成19年1月25日と見られ、当時の文部科学省独立行政法人評価委員会において「評価疲れみたいなところがあるのか、その辺の本音をお聞きしたい」、「評価を受けることで疲れてしまい、結果的に悪くなってしまったのでは仕方がない」といった議論が見られている。平成24年の「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成24年12月6日内閣総理大臣決定)においては、「研究開発評価がその後の評価に活用されない場合には、現場に徒労感を生み出す恐れがあり、適切な評価及びその活用を図らなければ、いわゆる「評価疲れ」を生むことが各方面から指摘されている」旨が示されるに至った。なお、翌年の、国立研究開発法人制度の創設に関して構想を示した「わが国の研究開発力強化に関する提言(中間報告)」(平成25年5月14日自由民主党政務調査会科学技術・イノベーション戦略調査会)においても、同様の論調が示されている。
 研究開発法人、又は国立研究開発法人以外の独立行政法人に対しても、平成25年には総務省が、「多層的な評価による作業負担」を認めつつ、旧独立行政法人評価委員会制度下における評価について、「多層的・評価疲れの問題」があるとの認識(平成25年5月7日行政改革推進会議有識者議員懇談会第一回会合)を示した。これに対し、懇談会に出席した有識者議員からは、「けなされもしないけれども、褒められもしない報告書を毎年つくるというのは、なかなかその中身があったとしても辛い仕事に思われるという面が評価疲れの一旦になっているんじゃないか」、「評価の量が多いことに加え、いくつもの異なる種類の評価が整理されずに実施され、論理体系性がわかりにくいことも、評価疲れの原因になっている」、「様々な評価の目的と方法論が不明確だったということも疲れる原因ではなかったか」といった賛同や、「(もちろん不適切な評価が何回も重なるのはよくないとは思うとしつつ、)民間の企業でありましても、IRですとか株主総会、その他に向けて非常な時間とエネルギーを使っているわけでありまして、税金を使ってやっているということはそういうことなんだということ」といった否定的な意見も含め、当時の独立行政法人おける評価疲れが生じているとの議論が見られている。
→主務大臣評価/独立行政法人評価

2019年4月17日水曜日

業務実績報告書/自己評価書/内部評価資料

 独立行政法人通則法に基づき、独立行政法人が毎年6月末日までに主務大臣に提出するとともに公表するとされる報告書。前年度又は目標期間における業務の実績を報告する。「独立行政法人の評価に関する指針」(平成26年9月2日総務大臣決定)では、「自己評価書」と表記されるが、独立行政法人によっては、「業務実績報告書」と表現する場合がある。また、主務大臣が行う独立行政法人評価を「外部評価」と称するのとの関係で、「内部評価資料」と通称される場合がある。主務大臣評価とは異なり様式が指定されていないことから、独立行政法人独自のフォーマットを用いている例や、主務大臣評価の様式をそのまま転用する場合などがある。
→主務大臣評価/独立行政法人評価
→提出文書(独立行政法人)

2019年4月11日木曜日

主務大臣評価/独立行政法人評価

 独立行政法人の業務実績に対する評価のこと。独立行政法人の長が業務実績報告書(又は自己評価書)を作成するために行なわれるいわゆる「内部評価」との対比で「外部評価」と呼ばれる場合もある。事業年度ごとの業務実績について行なわれるいわゆる「年度評価」のほか、中期目標管理法人及び国立研究開発法人に対して行なわれる、目標期間終了前年度のいわゆる「見込み評価」、目標期間を通じての業務実績を評価するいわゆる「期末評価」が存在する。従来、独立行政法人の評価については、各府省の独立行政法人評価委員会が行なうこととされていたが、平成27年の改正独立行政法人通則法施行後は、主務大臣の関与を強化する観点で、主務大臣が主体となって評価することとされている。

○起源
 独立行政法人制度の骨格を決定した「中央省庁等改革の推進に関する方針」(平成11年4月27日中央省庁等改革推進本部決定)において、各府省に合議制の独立行政法人評価委員会を設置し、「独立行政法人評価委員会による独立行政法人の業務の実績の評価は、同委員会が設定する客観的な評価(例えば、中期目標の達成度合に応じた数段階評価)基準による」、「年度計画や中期計画の作成に当たっては、独立行政法人評価委員会の評価結果を踏まえるものとする」、「独立行政法人評価委員会の評価結果を踏まえて、中期目標の設定、中期計画の認可又は独立行政法人の長等の人事等を行うものとし、任期途中の独立行政法人の長の交代もあり得るものとする」こととされた。

○独立行政法人評価委員会制度の下での運用
 独立行政法人制度の導入後、各府省の独立行政法人評価制度委員会による評価、及び当該評価結果に関する総務省政策評価・独立行政法人評価制度委員会の点検という、階層的な評価が実施されてきた。これにより、外部の第三者機関による累次の評価を経て、「着実に」独立行政法人の「業務の改善がなされ」るとともに、「業務継続の必要性について見直」す仕組みが整備されたとされている。しかしながら、評価制度の運用が進むにつれ、以下のような課題が指摘されるようになった。
  • 問題を起こした独立行政法人に対しても高い評価がなされる事例(独立行政法人緑資源機構においては、林道整備事業の発注に関し、当該独立行政法人主導の談合事件が発覚したものの、平成18年度の事業評価で経費抑制に関する実績について、目標の90%以上を達成したとする高い評価がなされた)
  • 各府省独立行政法人評価制度委員会が設定する「客観的な評価基準」が、各府省ごとに独自となっており、「政府全体としての評価の統一性を欠く」
  • 中期目標期間を総括した評価が次期中期目標策定に活かされていない
 また、「独立行政法人駐留軍等労務管理機構における不正常な状況」をめぐっては、防衛省独立行政法人評価委員会において理事長の更迭について言及がなされる、評価結果を受けて主務大臣より、独立行政法人制度として初となる是正措置要求が発出されるなどの動きが見られたが、結果として3年度にわたって「不正常な状況」が継続したことから、独立行政法人に対する主務大臣の関与の強化の必要性についても指摘されるに至った。

○独立行政法人改革に伴う主務大臣評価の導入
 上記の指摘に対応するため、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)において、「PDCA サイクルを強化する観点から、主務大臣自らが業績評価を行うこととする」旨が示された。さらに、「政府全体としての評価の統一性」を整備すべく、「独立行政法人の評価に関する指針」(平成26年9月2日総務大臣決定)が制定され、平成27年4月の改正独立行政法人通則法施行に合わせて、主務大臣評価と新たな評価制度の適用が開始された。
 なお、独立行政法人改革に伴い創設された国立研究開発法人については、総合科学技術・イノベーション会議において、「国立研究開発法人が、自らイニシアティブを発揮し国内外にそのポテンシャルを如何なく発揮する存在となるかどうかは、まさに国立研究開発法人に対する目標の策定及び評価の在り方をどのようなものとするかにかかっているといっても過言ではない」との認識の下、「研究開発の事務及び事業に関する事項に係る評価等の指針の案~研究開発成果の最大化に向けた国立研究開発法人の中長期目標の策定及び評価に関する指針~」(平成26年7月17日総合科学技術・イノベーション会議答申)が答申されるに至った。

○評価手続き
 独立行政法人改革後の独立行政法人の評価に関する流れは以下のとおり。
  1. 事業年度終了後、独立行政法人の長は、6月末日までに内部評価の結果をまとめた「業務実績報告書」を主務大臣に提出するとともに、公表する。
  2. 主務大臣は、上記「業務実績報告書」を受けて、独立行政法人の業務実績について評価を行なう。なお、この主務大臣評価に先立ち、国立研究開発法人については、主務大臣が「研究開発に関する審議会」の意見を聴取することが独立行政法人通則法で規定されているほか、中期目標管理法人及び行政執行法人についても運用として、主務大臣が外部有識者の意見を聴取する場合がある。
  3. 主務大臣が実施した評価の結果は、独立行政法人に通知されるとともに、公表することとされている。また、「遅滞なく」総務省独立行政法人評価制度委員会にも通知する。
  4. 独立行政法人評価制度委員会は、通知された主務大臣評価の結果について、必要に応じて主務大臣に意見を述べる。
 なお、国立研究開発法人のうち特定国立研究開発法人については、総合科学技術・イノベーション会議にも同様の取り扱いを行うこととされている。
 その他、外部有識者の意見聴取の結果、独立行政法人の自己評価に対して厳しい評価がなされた事例として、「独立行政法人国際協力機構における予算逼迫問題」をめぐって、「「一部混乱を招いた」ではすまない深刻な事態と認識している」等の意見が示され、結果、外務大臣が「外務省としても重く受け止めている」「抜本的な改善の取り組みを継続的に行う必要がある」との評価結果を示した例が挙げられる。

○基本的な考え方
 「独立行政法人の評価に関する指針」等によれば、主務大臣が評価を行うにあたっての基本的な考え方(主なもの)は以下のとおり。
  • 法律、閣議決定及びその他政府の種々の方針において、各独立行政法人が取り組むべきとされた事項に関する実施状況について評価を行うとともに、当該独立行政法人の業務等に係る国会審議、会計検査、予算執行調査等の指摘事項への取組状況についても評価する。
  • 関連する国の政策評価、行政事業レビュー及び行政評価・監視の結果を活用して評価する。
  • 評価は、評価単位(≒一定の事業等のまとまり)に合わせて行う項目別評定と、項目別評定を基礎とし法人全体を評価する総合評定によって構成される。
  • 目標及び計画で掲げる指標を基準とする絶対評価とする。なお、研究開発に係る事務及び事業については、研究開発業務の特性等を踏まえ、適切な評価軸に基づき評価を行う。
  • 各独立行政法人の事務及び事業の特性に十分に配慮し、なぜその実績に至ったかについて外部要因の影響やマネジメントの課題等を含む要因分析を行い、業務の改善につながるような実効性のある評価を実施するまた、その際、政府の政策実現への寄与など、当該独立行政法人の目的やその業務の質の向上の観点に留意するとともに、社会経済情勢の変化や技術の進歩等を踏まえたものとする。
  • 評価に当たっては、独立行政法人制度創設の趣旨を踏まえ各独立行政法人の事務及び事業の特性に十分に配慮し、業務が効果的かつ効率的に実施されているかどうかの視点を常に持ち、その業務がどれほどの投入資源を費やしているかについて業務の成果・効果と対比して評価する。
  • 早急な財務内容の改善など、独立行政法人個々に対する社会的要請をも踏まえるものとする。
  • 業務実績報告書を活用する。
 独立行政法人評価制度の詳細については、独立行政法人の類型に応じた違いが存在するほか、組織及び業務の見直しや役員退職金(業績勘案率)などの波及範囲が広く、内容が多岐膨大に渡ることから、各論に関する記事の整備を進めながら、適宜加筆修正していくこととしたい。

→一定の事業等のまとまり/セグメント
→研究開発に関するに関する審議会/国立研究開発法人審議会/日本医療研究開発機構審議会/宇宙政策委員会(独立行政法人評価)
→評価書様式について(平成26年9月2日総務省行政管理局長)(総管査第254号)
→独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構における不正常な状況
→独立行政法人国際協力機構における予算逼迫問題/JICAの資金ショート問題
→政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて(平成30年2月7日まち・ひと・しごと創生本部事務局)

2019年3月11日月曜日

政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて(平成30年2月7日まち・ひと・しごと創生本部事務局)

 「政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて」(平成30年2月7日まち・ひと・しごと創生本部事務局)は、平成30年に内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局から各府省地方創生担当課へ発出されたもの。平成29年10月23日の第1回政府関係機関移転に関する有識者懇談会における有識者意見を踏まえ、政府関係機関の地方移転について検討、対応することを依頼している。
 独立行政法人に関する事項として、政府関係機関移転の対象となる研究開発法人について、「各研究開発法人の中長期目標・年次計画等における、移転の取組の明示的な位置付け」を求めている。これは、政府関係機関移転に関する有識者懇談会において、委員より「移転対象期間を有する各法人の中長期目標に移転にかかる取組が位置付けられれば、各法人がPDCAサイクルを自ら回すので、それをまち・ひと・しごと創生本部事務局が地方創生の観点から横串で評価するという形が望ましい」との意見が示されたことなどを受けてのものと考えられる。

○解説
 「政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて」の記述のうち、「各研究開発法人の中長期目標・年次計画等において、すでに移転の取組を記載いただいている機関もあるかと存じますが、明示的な位置付けがなされていない機関におかれましては、今後、中長期目標や年次計画を見直す際に御検討いただきますようお願いいたします」との要請内容については、以下のとおり、検討の余地があると考えられる。
  • 中長期目標は国立研究開発法人に関し制定されるものであることから、「国立研究開発法人以外の研究開発法人」(独立行政法人酒類総合研究所等)については、当該記述の対象外と扱うべきか、それとも「中期目標」と読み替えて対応すべきか。(要請の趣旨からして、後者が適当な可能性が高い)
  • 中長期目標は独立行政法人通則法上、主務大臣が定めることとされており、機関(中長期目標の客体である国立研究開発法人)にその記述内容を要請したとしても、直接記述内容の変更を取り扱えないこと。「機関」は「中長期目標」を直接見直す立場にないこと。(当該記述は主務大臣及び事務を行う府省に向けられたものとして解釈すべきか、それとも中長期計画の誤記と解釈すべきか)
  • 独立行政法人制度関連法令上「年次計画」なる文書の定義は存在しないこと。(中長期目標との並びで記載されていることや添付資料の記述から、年度計画の誤字と解釈すべきか)

 なお、添付されている「研究機関の中期計画等における移転に関する記載内容」(平成29年10月23日第1回政府関係機関移転に関する有識者懇談会参考資料6)は、多様な国立研究開発法人の法人略語(一枚の用紙中に(独)表記のもの、(国研)表記のもの、法人略語を用いないものなどが混在した形で、14用例が記載されている)を示す資料としても参照されている。    

→国立研究開発法人
→研究開発法人
→「国立研究開発法人」以外の「研究開発法人」
→中期目標/中長期目標/年度目標
→年度計画
→独立行政法人の法人略語

本文:
「政府関係機関移転に関する今後のフォローアップについて」(平成30年2月7日まち・ひと・しごと創生本部事務局)

東日本大震災による各独立行政法人の被害状況及び震災対応関係の業務内容(平成23年4月26日総務省)

 「東日本大震災による各独立行政法人の被害状況及び震災対応関係の業務内容」(平成23年4月26日総務省)は、平成23年4月26日の総務省政策評価・独立行政法人評価委員会独立行政法人評価分科会に、委員会事務局である総務省行政評価局又は行政管理局が提示した資料。各独立行政法人のウェブサイトにおける公表内容を元に、総務省がまとめている。概要は以下のとおり。独立行政法人の名称及び日付は特に断りがない限り平成23年のもの。

○各独立行政法人の被災状況
  • 独立行政法人情報通信機構:おおたかどや山標準電波送信所が20km圏内避難指示を受けたことに伴い、標準電波の送信を停止→4月21日、暫定的に送信を再開
  • 独立行政法人国際協力機構:東北支部が業務停止
  • 独立行政法人国立科学博物館:筑波実験植物園の望遠鏡ドームについて、歪みが生じ使用不可
  • 独立行政法人物質・材料研究機構:・材料分析用の核磁気共鳴装置(NMR)や真空装置が被害。修理費8億4千万円以上の見込み。
  • 独立行政法人防災科学技術研究所:つくば本所の一部建屋が損壊。観測施設の一部も被災。
  • 独立行政法人科学技術振興機構:日本科学未来館の館内展示や施設に大きな破損
  • 独立行政法人宇宙航空研究開発機構:筑波宇宙センター日本実験棟「きぼう」および宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の運用管制施設の建物などに一部被害が発生
  • 独立行政法人海洋研究開発機構:物的被害あり。地球深部探査船「ちきゅう」の推進装置等が破損。→室蘭港にて応急修理後、横浜へ回航。
  • 独立行政法人国立高等専門学校機構:苫小牧高専、八戸高専、一関高専、仙台高専、秋田高専、鶴岡高専、福島高専、茨城高専。小山高専。群馬高専、東京高専に被害
  • 独立行政法人日本原子力研究開発機構:原子力科学研究所、核燃料サイクル工学研究所、大洗研究開発センター、那珂核融合研究所、本部(茨城県那珂郡)において、一部の設備・機器等に損傷あり
  • 独立行政法人雇用・能力開発機構:宮城職業能力開発促進センターについて津波により1階冠水、施設閉鎖。・いわき職業能力開発促進センターにおいて公共職業訓練を休止
  • 独立行政法人労働者健康福祉機構:青森労災病院、東北労災病院、秋田労災病院、福島労災病院、鹿島労災病院が被災。
  • 独立行政法人国立病院機構:宇都宮病院、水戸医療センター、いわき病院、仙台医療センター、宮城病院、霞ヶ浦医療センターが被災
  • 独立行政法人家畜化医療センター:ウェブサイトへのアクセス困難
  • 独立行政法人水産総合研究センター:東北区水産研究所若鷹丸船首船尾損傷、宮古栽培漁業センター全壊、水産工学研究所及び本部(横浜)が被災。
  • 独立行政法人産業技術総合研究所:つくばセンター及び東北センターが被災。電子顕微鏡や排気装置が大きく損壊し、被害額数十億規模。
  • 独立行政法人製品評価技術基盤機構:東北支所が被災。
  • 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構:久慈国家石油備蓄基地にて管理等3棟浸水、燃料タンク1基破壊、その他タンク5基が倒壊、このほかの地上施設・設備関係がほぼ全損
  • 独立行政法人電子航法研究所:仙台空港所在の岩沼分室がほぼ全損
  • 独立行政法人海技教育機構:宮古海技短大被災。庁舎津波被災、船艇大破、艇庫全損。
  • 独立行政法人航空大学校:仙台空港所在の仙台分校が被災。庁舎津波被災。
  • 自動車検査独立行政法人:東北検査部が被災
  • 独立行政法人水資源機構:利根川河口堰ブロック護岸一部沈下等
  • 独立行政法人自動車事故対策機構:仙台主管支所及び福島支所の休業
  • 独立行政法人海上災害防止センター:資機材使用不可能
  • 独立行政法人都市再生機構:一部敷地内の液状化やコンクリートたたき部分に亀裂等が生じた団地あり。
  • 独立行政法人国立環境研究所:施設・設備等被災

○各独立行政法人における震災対応関係の業務内容(主なもの)
  • 独立行政法人情報通信研究機構:航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR2)を用いた緊急観測、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)による仮設ブロードバンド通信網の構築、航空幕僚監部からの要請により松島基地及び入間基地に直径1メートル程度の小型の地球局設備(仮設ブロードバンド網)を臨時設置、「コグニティブ無線ルータ」の機材を岩手県に持ち込みインターネット接続環境を構築
  • 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構:通帳、証書、印章等をなくされた被災者の定額貯金及び郵便貯金の払戻、被災者に対する普通貸付金の非常即時払に適用する利率の軽減等
  • 独立行政法人国際協力機構:で国連災害評価調整チーム(UNDAC)、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の活動支援、青年海外協力隊員による被災者、避難者への支援等
  • 独立行政法人国際交流基金:海外拠点における災害情報の提供、支援の呼びかけ等
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構:被災者等の受け入れ
  • 独立行政法人国立女性教育会館:被災者等の受け入れ
  • 独立行政法人防災科学技術研究所:地震計(高感度地震計、広帯域地震計)で記録された東北地方太平洋沖地震の波形データ等の公表
  • 独立行政法人放射線医学総合研究所:被ばく医療関係専門家の派遣、防災業務従事者に対する体表面汚染及び内部被ばく検査等治療の実施等
  • 独立行政法人教員研修センター:被災者等の受け入れ
  • 独立行政法人理化学研究所:放射線測定支援等
  • 独立行政法人宇宙航空研究開発機構:陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による被災地の緊急観測及び政府への画像提供、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を用いた通信回線の提供、技術試験衛星VIII型「きく8号」(ETS-VIII)による人工衛星回線の接続、実験用航空機による福島第一原発周辺の放射線量計測、実験用航空機(ヘリコプター)による被災地への救援物資輸送、放射線計測装置の貸与等
  • 独立行政法人海洋研究開発機構:深海調査研究船「かいれい」が三陸沖から銚子沖にかけて海底地震計の設置や海底地形の調査等を実施、学術研究船「白鳳丸」及び海洋地球研究船「みらい」が、福島沖において分析のための海水採取等を実施
  • 独立行政法人日本原子力研究開発機構:原子力災害現地対策本部(福島県)へ要員派遣、放射線モニタリング、身体サーベイ、放射線
  • 除洗の実施
  • 独立行政法人雇用・能力開発機構:雇用促進住宅を被災者等の一時入居先として提供等
  • 独立行政法人労働者健康福祉機構:・DMAT(災害時の救命救急を目的とした専門医療チーム)、救護班派遣、巡回診療の実施、被災患者の受け入れ等
  • 独立行政法人国立病院機構:DMAT(災害時の救命救急を目的とした専門医療チーム)、医療班派遣、被災患者の受け入れ等
  • 独立行政法人国立がんセンター:宮城県へ医療支援団を派遣、福島県へスクリーニング支援団を派遣、被災地のがん患者の受け入れ等
  • 独立行政法人国立循環器研究センター:医療チームの派遣等
  • 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター:「心のケアチーム」の派遣等
  • 独立行政法人国立国際医療研究センター:医療チームの派遣等
  • 独立行政法人国立成育医療研究センター:羽田空港に災害時派遣医療チームの派遣、被災患者受け入れ、医師派遣等
  • 独立行政法人国立長寿医療研究センター:医療班の派遣等
  • 独立行政法人水産大学校:練習船「耕洋丸」による救援物資の搬送、船内での食事・風呂の提供等
  • 独立行政法人水産総合研究センター:水産庁と連携し用船を利用した被災地支援(しポリタンク300本の軽油の陸揚げ、重油30キロの提供)等
  • 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構:神栖国家石油ガス備蓄基地(茨城県神栖市)からの国家備蓄石油ガスを放出
  • 独立行政法人海上災害防止センター:千葉コスモ石油LPGタンク炎上について消防船2隻が対応
  • 独立行政法人都市再生機構:被災者へのUR賃貸住宅の提供、応急仮設住宅建設用地の提供等

 なお、独立行政法人評価分科会は同日の開催にあたり、被災者に対し黙祷を捧げている。

2019年3月8日金曜日

一定の事業等のまとまり/セグメント

 独立行政法人の事業計画や評価、決算等の基本的な項目単位の粒度を示す概念。独立行政法人の内部管理の観点や財務会計との整合性を確保した上で、少なくとも、目標(中期目標、中長期目標又は年度目標)及び評価において「一貫した管理責任を徹底し得る単位」のこと。
 事業計画や評価での粒度については、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」(平成26年9月2日総務大臣決定)において、中期目標管理法人の中期目標、国立研究開発法人の中長期目標及び行政執行法人の年度目標については、「法人の長の下での自律的なPDCAサイクルを設定し、法人内部のマネジメントを発揮し得るよう、適正かつ厳正な評価に資する一定の事業等のまとまりごとに目標を策定する」とされている。また、「独立行政法人の評価に関する指針」(平成26年9月2日総務大臣決定)では、中期目標、中長期目標又は年度目標項目を評価単位とする原則が示されている。
 「一定の事業等のまとまり」は予算や決算等の会計的粒度とも整合することが求められる。すなわち、独立行政法人の中期計画、中長期計画及び事業計画に係る予算等について(平成27年3月24日総務省行政管理局修正)では、中期目標管理法人及び国立研究開発法人に対し年度計画上で、行政執行法人に対し事業計画で、「事業等のまとまり」ごとの予算の見積りを作成するよう求めている。また、「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」」等では、財務諸表等において「「一定の事業等のまとまり」ごとの区分に基づくセグメント」により情報を開示すること、さらに、「一定の事業等のまとまり」を細分化するか、同一の粒度で「運営費交付金の収益化単位の業務」を設定する旨が示されている。
 すなわち、上記の規定を総合すると以下のような原則関係となる。

目標における項目=評価における項目=年度計画の予算の粒度=財務諸表等のセグメント≧運営費交付金の収益化単位

 「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)においては、「事業等のまとまりごとに予算の見積り及び執行実績を明らかにし、著しい乖離がある場合にはその理由を説明させることとする」及び「会計基準について、損益均衡の仕組みを維持しつつ、事業等のまとまりごとに区分された情報を充実する」とされており、上記の原則関係は、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」に基づき整備されたものである。
 なお、年度計画又は事業計画における「事業等のまとまり」ごとの予算の見積もりについては、決算時に決算額との差額を明らかにすることとされており、「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準」に関するQ&A」の決算報告書の「様式例」では、年度計画又は事業計画に記載されている予算金額を使用する考えが示されている。
→中期計画/中長期計画/事業計画
→年度計画
→独立行政法人の中期計画、中長期計画及び事業計画に係る予算等について(平成27年3月24日総務省行政管理局修正)
→評価書様式について(平成26年9月2日総務省行政管理局長)(総管査第254号)
→運営費交付金の収益化/収益化基準

2019年2月5日火曜日

研究開発に関するに関する審議会/国立研究開発法人審議会/日本医療研究開発機構審議会/宇宙政策委員会(独立行政法人評価)

 独立行政法人通則法においては、主務大臣が国立研究開発法人の業務実績を評価(独立行政法人評価。いわゆる各年度の年度評価のほか、中長期目標期間終了の前年度時点における見込み評価、中長期目標期間終了時点における期末評価を含む)する際には、予め、「研究開発に関する審議会」の意見を聴取することとされている。この研究開発に関する審議会について、独立行政法人の組織、運営及び管理に係る共通的な事項に関する政令(平成12年政令第316号)では、各府省等に設置される国立研究開発法人審議会並びに一部について日本医療研究開発機構審議会及び宇宙政策委員会とする旨が定められている。

○任務
  • 独立行政法人評価に先立つ、主務大臣に対する意見の表示
  • 主務大臣による、国立研究開発法人の業務の継続又は組織の存続の必要性その他その業務及び組織の全般にわたる検討に先立つ、主務大臣に対する意見の表示
  • 主務大臣による、中長期目標の指示に先立つ、主務大臣に対する意見の表示

○構成
  • 6名以上で構成される。(後述の外国人委員の構成比率の規制のため)
  • 高度な知識及び経験を有する者からなる、専門性と多様性の双方を重視した委員構成とする。
  • 会務を総理し、代表する委員(委員長等)を置く。
  • 委員は主務大臣が任命する。
  • 研究開発に関して高い識見を有する外国人(日本の国籍を有しない者)を任命することができる。ただし、外国人は、会務を総理し、代表する委員にはなることは出来ず、また、外国人委員は委員総数の五分の一を超える比率を占めることは出来ない。

○運用
  • 国立研究開発法人が作成し、主務大臣へ提出した自己評価書の正当性・妥当性、国立研究開発法人の長のマネジメントの在り方等について確認する。
  • 中長期目標及び中長期計画策定時に主務大臣と国立研究開発法人の長と確認した評価軸を活用する。
  • 国立研究開発法人の目標の策定、評価に関して密接不可分な事項(制度運用に関するものなど)について検討するなど、国立研究開発法人の機能強化に向けて貢献する。
  • 複数の主務大臣が共管する国立研究開発法人については、各府省等の研究開発に関する審議会が分担し、全体や共通事項については主務大臣が協議して審議会を開催するなど合理的な運用を図る。

 このほか、国立研究開発法人のうち、特定国立研究開発法人については、見込み評価等について、総合科学技術・イノベーション会議が意見・指摘事項を述べることとされている。
→国立研究開発法人
→中期目標/中長期目標/年度目標

2018年11月28日水曜日

提出文書(独立行政法人)

 中期目標管理法人、国立研究開発法人又は行政執行法人から主務大臣に提出する文書。提出に伴う処理に応じて、認可、承認、届出、通知等がなされるもののほか、独立行政法人通則法や独立行政法人の組織、運営及び管理にかかる共通的な事項に関する政令(平成12年政令第316号)で単に、「提出する」ことのみが定められている場合がある。
 独立行政法人通則法や独立行政法人の組織、運営及び管理にかかる共通的な事項に関する政令により、単に「提出する」とされている文書は以下のとおり。

○独立行政法人通則法で単に「提出する」とされている文書
・業務実績報告書
・財務諸表に添付される事業報告書、決算報告書、監査報告書 


○独立行政法人通則法及び独立行政法人の組織、運営及び管理にかかる共通的な事項に関する政令で単に「提出する」とされている文書
・不要財産の譲渡に関する報告書等
・国庫納付金の計算書等

 独立行政法人の「提出文書」や「提出書類」については、広義には、認可文書等、独立行政法人通則法やこれに基づく政省令により提出する、認可文書、承認文書、届出文書、認定文章、通知文書及び報告文書を含めて指す場合がある。本稿で列記した狭義の提出文書を含む、広義の提出文書は全て、独立行政法人の組織、運営及び管理にかかる共通的な事項に関する省令(平成27年総務省令第28号)に基づき、他の主務大臣への提出文書と同様、監事の調査対象として指定されている。

→認可文書
→承認文書
→届出文書
→認定文書
→通知文書
→報告文書