「評価作業によって、過度の事務負担」「多層的な評価による作業負担」が発生することや、「評価結果が活用されないこと等」により「徒労感」が発生する、事象のこと。従来、民間企業における「業績評価疲れ」や、大学評価に伴う事務負担の増大等に対して使用されるなど、評価疲れを巡る議論は、これらの方が先行していると見られるが、近年では、独立行政法人評価や研究開発評価を巡っても用例が見られる。
独立行政法人における「評価疲れ」の初出は、遅くとも平成19年1月25日と見られ、当時の文部科学省独立行政法人評価委員会において「評価疲れみたいなところがあるのか、その辺の本音をお聞きしたい」、「評価を受けることで疲れてしまい、結果的に悪くなってしまったのでは仕方がない」といった議論が見られている。平成24年の「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成24年12月6日内閣総理大臣決定)においては、「研究開発評価がその後の評価に活用されない場合には、現場に徒労感を生み出す恐れがあり、適切な評価及びその活用を図らなければ、いわゆる「評価疲れ」を生むことが各方面から指摘されている」旨が示されるに至った。なお、翌年の、国立研究開発法人制度の創設に関して構想を示した「わが国の研究開発力強化に関する提言(中間報告)」(平成25年5月14日自由民主党政務調査会科学技術・イノベーション戦略調査会)においても、同様の論調が示されている。
研究開発法人、又は国立研究開発法人以外の独立行政法人に対しても、平成25年には総務省が、「多層的な評価による作業負担」を認めつつ、旧独立行政法人評価委員会制度下における評価について、「多層的・評価疲れの問題」があるとの認識(平成25年5月7日行政改革推進会議有識者議員懇談会第一回会合)を示した。これに対し、懇談会に出席した有識者議員からは、「けなされもしないけれども、褒められもしない報告書を毎年つくるというのは、なかなかその中身があったとしても辛い仕事に思われるという面が評価疲れの一旦になっているんじゃないか」、「評価の量が多いことに加え、いくつもの異なる種類の評価が整理されずに実施され、論理体系性がわかりにくいことも、評価疲れの原因になっている」、「様々な評価の目的と方法論が不明確だったということも疲れる原因ではなかったか」といった賛同や、「(もちろん不適切な評価が何回も重なるのはよくないとは思うとしつつ、)民間の企業でありましても、IRですとか株主総会、その他に向けて非常な時間とエネルギーを使っているわけでありまして、税金を使ってやっているということはそういうことなんだということ」といった否定的な意見も含め、当時の独立行政法人おける評価疲れが生じているとの議論が見られている。
→主務大臣評価/独立行政法人評価
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