2019年7月1日月曜日

各省庁の「子会社というか実務担当」(独立行政法人)

 平成30年2月19日の総務省第15回独立行政法人評価制度委員会において見られた表現例。一部委員から独立行政法人評価に携わっての感想として示されたもの。具体的には、委員として就任して約1年間評価に携わったことを振り返り、「各省庁がこういった法人を子会社というか実務担当で置いているということに関しては、非常に勉強させていただきました」との感想を述べてたもの。

○解説
 前後の文脈は、独立行政法人を「活性化させていただいて、より国民のためになるような社会にしてほしい」、「実務部隊にどんどん出ていっていただいて、逆に主務省を動かすぐらいの話になっていただけると非常に面白い」と独立行政法人全般に対して好意的なものであり、特段の悪意は認められない。
 しかしながら、発言中、独立行政法人を省庁の「子会社」になぞらえている箇所については、主務大臣と独立行政法人の関係について、会社法会社における親会社・子会社の関係に類似するものとして誤解して捉えている可能性が否めない。独立行政法人制度における擬似契約関係(目標・計画を介した約束の取り交わし、主務大臣による予算措置に対する独立行政法人の業務実施)や、設置根拠(国会で審議された法律に基づき主務大臣の指定及び独立行政法人の設置がなされることから、親会社の意思のみで設立可能な子会社と設置要件が異なる)、独立行政法人通則法の「独立行政法人の自主性」に関する規定などを踏まえると、独立行政法人をして省庁の「子会社」として位置づけることは、必ずしも正確な表現とは言い切れない可能性がある。
 なお、省庁の「実務担当」とする認識については、独立行政法人の趣旨(行政における企画部門から独立した実施機関を設ける)に合致していると考えられる。
→独立行政法人の自主性
→植民地(独立行政法人)
→まな板のコイ/「独立」とは名ばかり(研究開発法人)
→擬似契約関係

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