「独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)」(令和2年5月1日日本公認会計士協会会長)(非営利2020第1号)は、令和2年に日本公認会計士協会会長から各独立行政法人の主務大臣に対し提出された要望書。文書番号は非営利2020第1号。
新型コロナウイルス感染症により、独立行政法人及び国立大学法人における決算業務等について「遅れが生じ」ている状況認識を示し、独立行政法人通則法において定められた毎年6月末日の財務諸表等の提出期限内に、各独立行政法人が財務諸表等を主務大臣に提出することが「困難となる可能性が高まってい」るとの見通しを示している。その上で、「一部の独立行政法人においては、財務諸表等を7月以降に提出することを検討」している動向に言及しつつ、主務大臣に対して、独立行政法人の財務諸表等の提出及びそれに添付される、会計監査人による会計監査報告の作成期間等について、「独立行政法人の適切な決算作業の進捗」及び「会計監査人における十分な監査期間確保等」の観点から、柔軟な取扱いを要望している。
なお、この「独立行政法人等が提出する財務諸表等の期限の取扱いについて(要望)」を受けて、同年5月7日には、独立行政法人の会計監査人たり得る日本公認会計士協会の会員に対し、担当の常務理事より、「これを契機として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を主眼に置いた決算及び監査のスケジュールを、監査対象法人とコミュニケーション」するよう、依頼がなされている。
独立行政法人の財務諸表を巡っては、過去、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構の財務諸表が3年間にわたり、主務大臣の承認が得られていなかった状況を、「不正常な状況」として「看過できない」とした参議院の警告決議(「平成20年度決算議決」(平成23年2月16日参議院本会議))の事例もあり、一般的に独立行政法人通則法で定められた財務諸表の提出及び主務大臣の承認については、当然に法定期限のとおり処理すべきとされている。今回の日本公認会計士協会による要望書は、新型コロナウイルス感染症の影響により、この法定期限が達成困難とする状況に対して、特例的な取扱いを求めたものと言える。
※日本公認会計士協会においては、事前に文書による同協会の許諾を得ることなく、公表物等の転載を行うことを禁じており、また著作権法第13条の非保護著作物に該当しないことから、要望書本文の紹介については割愛する。なお、要望書本文については令和2年5月7日付で日本公認会計士協会のウェブサイトに掲載されている。
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