2020年3月24日火曜日

指定公共機関(国民保護)

 武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成15年法律第79号)では、独立行政法人のうち、政令で定めるものについては、「国及び地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態等への対処に関し、その業務について、必要な措置を実施する責務」を有する「指定公共機関」として、武力攻撃事態等への対処処置を担うとされている。
 
〇指定
 「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律における指定公共機関」には、政令で個別指定される場合と内閣総理大臣が指定し公示する場合との2類型が存在するが、独立行政法人への指定については前者の形態が採られている。
 
〇指定公共機関としての措置内容
 内閣官房長官と国土交通大臣の下で開催された「空港インフラへの規制のあり方に関する研究会」における、平成20年11月27日の内閣官房の説明によれば、「指定公共機関が国民保護措置として実施する措置の内容」として、概略が示されており、このうち、以下の項目については指定公共機関とされている一部の独立行政法人も担うものと解される。
  • (医療機関としての)医療の確保
  • (公共的施設の管理者としての)河川管理施設、道路、港湾及び空港の適切な管理
  • (災害研究機関としての)武力攻撃災害の防除、軽減及び復旧に関する指導、助言等
 
〇その他指定公共機関以外の独立行政法人における対応
 独立行政法人のうち、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律で明確に対処措置を行う責務が課せられているのは、政令で指定される一部の独立行政法人に限定されるものの、これ以外の独立行政法人についても、主務大臣との疑似契約関係や国及び地方公共団体等との連携、その他の要請や自らの判断により、国民保護において役割を果たし得る可能性が考えられる。類例として、近年においては、東日本大震災等において、各独立行政法人が災害対応等の貢献を実施したことが確認されている。なお、研究開発法人(国立研究開発法人以外の研究開発法人を含む)については、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号)第48条において、主務大臣が「災害その他非常の事態が発生し、若しくは発生するおそれがある場合において、国民の生命、身体若しくは財産を保護するため緊急の必要があると認めるときは、研究開発法人に対し、必要な措置をとることを求める」ことを可能としており、研究開発法人においては、当該主務大臣の求めに応じる義務が課せられている。
 
(参考)武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律施行令(平成15年政令第252号)第3条各号において指定公共機関とされている独立行政法人一覧
  • 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
  • 国立研究開発法人建築研究所
  • 独立行政法人国立病院機構
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
  • 独立行政法人情報処理推進機構
  • 国立研究開発法人情報通信研究機構
  • 国立研究開発法人森林研究・整備機構
  • 国立研究開発法人水産研究・教育機構
  • 国立研究開発法人土木研究所
  • 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
  • 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
  • 独立行政法人水資源機構
  • 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

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