2019年8月6日火曜日

総合評定

 独立行政法人の業務実績については、毎年度、主務大臣による評価を受ける(いわゆる「年度評価」。)こととされているほか、中期目標管理法人及び国立研究開発法人に対しは、目標期間終了前年度のいわゆる「見込み評価」、目標期間を通じての業務実績を評価するいわゆる「期末評価」を行うこととされている。これらの評価結果については、評価単位(≒一定の事業等のまとまり)に合わせて行う項目別評定と、項目別評定を基礎とし法人全体を評価する総合評定によって構成されている。すなわち、総合評定は、個々の独立行政法人全体のパフォーマンスを表す指標と言える。
 総合評定はS、A、B、C及びDの5段階により示されており、中期目標管理法人及び行政執行法人とそれ以外の国立研究開発法人との間で定義ぶりが異なるものの、おおむね、Sについては「特に顕著な成果(国立研究開発法人については期待を含む)」、Aについては「顕著な成果(前同)」、Bが「おおむね初期の目標を達成」とされており、Cについては「改善を要する(国立研究開発法人については工夫、改善等を期待)」、Dについては「抜本的な改善を求める(国立研究開発法人については特段の工夫、改善を求める)」と大別される。会計検査院が平成26年度から29年度における各独立行政法人の年度評価における総合評定をまとめたところによれば、中期目標管理法人及び行政執行法人についてはいずれの年度も「B評定」が最多となっており、国立研究開発法人については平成27年度を除き「A評定」が最多となっている。
 一般的に目標水準以下とされる、総合評定がC又はD評定となった事例については以下のとおり。これらの事例を踏まえると、一部に目標水準以下の要改善事項が見受けられ全体の評定も引き下げることとなった事例や、独立行政法人日本スポーツ振興センターや独立行政法人自動車技術総合機構の事例のように、特に社会的な影響度合い又は目標に対する要改善事項の重要度合いに応じて評定が引き下げられたケースが伺える。
  • 独立行政法人造幣局の平成27年度における業務実績に関し、「コンプライアンス、リスク管理及び人事管理について問題があり、法人全体の信用を失墜させる事態を生じさせたことは、国民生活の基盤となる貨幣を製造している法人として重く受け止める必要」がある、とされたことから、財務大臣が当該年度の総合評定をC評定とした事例。
  • 独立行政法人日本スポーツ振興センターの平成26年度及び27年度それぞれにおける業務実績に関し、「新国立競技場整備計画検証委員会」による指摘などがみられたたことから、文部科学大臣が26年度の総合評定をD評定、27年度のそれをC評定とした事例。
  • 独立行政法人農業者年金基金の平成26年度における業務実績に関し、「不適正な給付事務となるリスク認識が不十分」であったことや「平成26年度新規加入者実績が過去8カ年において最低水準となった」ことなどを踏まえ、厚生労働大臣及び農林水産大臣が当該年度の総合評定をC評定とした事例。
  • 独立行政法人自動車技術総合機構(旧自動車検査独立行政法人)の平成27年度における業務実績に関し、「神奈川事務所事案」の発生等を踏まえ、国土交通大臣が当該年度の総合評定をC評定とした事例。
 以上のうち、特に独立行政法人日本スポーツ振興センターについては、現行の評価制度において初めて「所期の目標を下回っており、業務の廃止を含めた抜本的な改善を求める。」とされた事例といえる。
→主務大臣評価/独立行政法人評価
→研究開発に関するに関する審議会/国立研究開発法人審議会/日本医療研究開発機構審議会/宇宙政策委員会(独立行政法人評価)
→独立行政法人における経営努力の促進とマネジメントの強化について(平成30年3月30日総務省行政管理局)

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