○前史(国及び独立行政法人における福利厚生費問題)
平成20年に国土交通省で、本来使途が限定されるべき特定財源(道路特定財源等)からマッサージチェア、カラオケセットの購入等のレクリエーション経費に支出されたことなどが問題となり、国におけるレクリエーション経費の見直しがなされることとなった。これを契機として独立行政法人についても、平成20年8月以降、総務省管理局からの要請等に基づき、レクリエーション経費を見直すことが求められた。
さらに、平成21年には「独立行政法人の諸手当及び法定外福利費に関する調査」(平成21年12月9日総務省政策評価・独立行政法人委員会)が行われ、平成19年度時点で、101法人中、
- 互助組織に支出した法人が31法人
- 文化・体育・レクリエーションに関連する事業へ支出した法人が57法人、
- 給食費補助に係る事業へ支出した法人が27法人
- 慶弔見舞金などの給付を行なっていた法人が81法人
- 福利厚生代行サービス、カフェテリアプランに支出していた法人が18法人
○見直しの動き
上記の調査結果を踏まえ、「独立行政法人の職員の給与等の水準の適正化について」(平成21年12月17日総務省行政管理局独立行政法人総括事務連絡)が発出され、「法定外福利費については、国や一部法人で支出されていないものと同様の支出については原則廃止するなど、国民の理解を得られるよう見直しを行う」ことが求められたほか、見直し状況についてフォローアップを行う考えが示された。
さらに、翌平成22年3月29日には参議院決算委員会で調査結果が取り上げられ、当時の原口一博総務大臣より、「旅行に行くんだったら自分のお金で行ってくださいと、食事は自分のお金で払ってくださいと、もうそれに尽きますね」「およそ理解の得られないこういう支出について、さらに実態を総務省の各つかさつかさに指示をいたしまして御報告をさせていただきたい」との答弁がなされた。これを受け、独立行政法人制度を所管する「つかさ」である総務省行政管理局より、「独立行政法人の法定外福利厚生費の見直しについて」(平成22年5月6日総務省行政管理局長事務連絡)が発出され、特に参議院決算委員会で取り上げられた「互助組織」、「食事補助」、「祝金」などについて廃止するよう、主務省を通じた要請がなされた。
参議院決算委員会では、その後も独立行政法人日本原子力研究開発機構における食事補助や互助会からの旅行費補助が取り上げられたほか、独立行政法人創設から平成21年度まで独立行政法人の法定外福利厚生費の総額が742億円余りに上ることなどが取り上げられ、結果、「社会一般の通念に適合しない互助組織費用等への支出を廃止する」ことなどを求めた「平成20年度決算審査措置要求決議」(平成23年2月14日参議院決算委員会)の議決に至った。
○現状
独立行政法人における福利厚生は、「独立行政法人の法定外福利厚生費の見直しについて」(平成22年5月6日総務省行政管理局長事務連絡)等に基づき、国と同等程度(あるいはそれ以下)の水準に再構築されることとなった。例として、独立行政法人製品評価技術基盤機構では、供花・弔電の支給基準や見直し後の水準について複数次に渡り、経済産業省独立行政法人評価委員会においてその妥当性に関する評価を受け、「国あるいは地方自治体、民間と比較しましても厳しいものとなるよう改善した」ことを明かしている。
(参考)
「平成20年度決算審査措置要求決議」(平成23年2月14日参議院決算委員会)
内閣は、本決議を踏まえ、適切な措置を講じ、その結果を参議院決算委員会に報告すべきである。
(略)
2 独立行政法人等における法定外福利厚生費の適正化について
独立行政法人における法定外福利厚生費の支出について、総務省の調査によれば、平成13年度から21年度までの9年間で、計742億円に上っている。国におけるレクリエーション経費の見直しを契機として、独立行政法人においても法定外支出を廃止する見直しが行われている状況の下で、職員の会費により運営されるべき互助組織に対する費用、昼食代の食券交付や現金給付等の給食費補助事業等、様々な法定外支出が依然として継続されている実態が明らかとなった。また、政府関係機関においても、法定外福利厚生費に関して、同様の支出が確認されている。
政府は、独立行政法人及び政府関係機関の法定外福利厚生費について、その実態把握に努めるとともに、事業の公共性等にかんがみ、社会一般の通念に適合しない互助組織費用等への支出を廃止するなど、その見直しに向けて早急に措置を講じさせるべきである。
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