2018年8月21日火曜日

4大臣間の合意(平成25年12月)

 平成25年12月17日の当時の新藤総務大臣、下村文部科学大臣、山本内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)、稲田行政改革大臣の4者間の協議の結果により成立した4大臣間の合意のこと。世界水準の「新しい研究開発法人」については、「独法通則法を適用しつつ、国家戦略上の観点から、総合科学技術会議・主務大臣の強い関与や、業務運営上の特別な措置等を別法によって定めること」、対象の法人については「極力少ないものであるべきである」とし、特定国立研究開発法人制度の創設について合意したと見られる。
 もともと「新しい研究開発法人」を独立行政法人通則法の外に置く構想を掲げていた下村大臣、山本大臣と行政改革・独立行政法人制度関係大臣の間で「ぎりぎりの議論」(山本大臣)がなされ、「与党からも引き続き政府で調整せよ」(内閣官房)と示された結果、「痛み分け」とも「ウイン・ウイン」とも言われる合意にいたったとされる。

○内容
 平成25年12月20日に内閣官房行政改革推進本部事務局が公表した「合意内容」は以下の通り。

  1. 独法通則法を適用しつつ、総合科学技術会議・主務大臣の強い関与や業務運営上の特別な措置等を、国家戦略上の観点からの特例を定める別法によって講じる。別法の対象法人については、極力少数に限定することとし、今後、正当な手続を経て確定する。
  2. 引き続き、具体的な法案の内容等について、今後の立案プロセスの中で、関係大臣間で誠意をもって協議する。

○解釈
 成25年12月20日の第3回行政刷新会議独立行政法人改革等に関する分科会において、説明された合意内容の解釈は次のとおり。

  • 「1.独法通則法を適用しつつ、」として「適用」とあるとおり、あくまでも別法の対象法人は独立行政法人である。
  • 「別法によって講じる」とあるとおり、法人格としては独立行政法人であるが、「特別な措置、ルールを別法に規定する」としている。

国立研究開発法人


(参考)

大臣間合意については、以下のように記者会見で言及がなされている。

○平成25年12月24日下村文部科学大臣定例記者会見
(略)
 本日の閣議で、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」を決定いたしました。本閣議決定は、第1次安倍内閣以来の改革の集大成として、制度・組織全般にわたる改革の実現を図るものであります。特に、新たな研究開発法人制度の創設については、私と山本科学技術担当大臣の下に懇談会を設け、各界を代表する有識者から御提言を頂くなど、積極的に検討を進めてまいりました。また、先の臨時国会で成立した改正研究開発力強化法においても、世界最高水準の法人運営を可能とする新たな研究開発法人制度の創設が規定されているところでもあります。
 これらを踏まえまして、17日に関係4大臣、私と新藤総務大臣、山本科学技術担当大臣、稲田行革担当大臣、この4名で協議を行い、世界トップレベルの成果を生み出す創造的業務を担う研究開発法人については、独法通則法を適用しつつ、国家戦略上の観点から、総合科学技術会議・主務大臣の強い関与や、業務運営上の特別な措置等を別法によって定めることにより、新制度が創設されるということになりました。本日の閣議決定は、この4大臣間の合意を踏まえたものとなっております。
 文部科学省としては、今後、内閣府と連携を図りつつ、「新たな研究開発法人制度の創設」のための法案を次期通常国会へ提出することを目指して準備を進めてまいりたいと考えております。

○平成25年12月20日山本内閣府特命担当大臣記者会見
(略)私と下村大臣は有識者懇談会も立ち上げて、その有識者の方々に議論を重ねていただいた結果、新しい研究開発法人は、独法制度の外で新たな仕組みで創設するべきだということを申し上げました。ただ、党内や、政府内には行革サイド含めて違う意見もあるので、そこでいろいろ議論をして、全てこちらの意見が通ったわけではありませんが、一言で言うと痛み分けかなと思います。しかし、少なくとも新しい研究開発法人を別法で作る。つまりこれは新しい制度ですから、それが実現したことについては、稲田大臣と新藤大臣に大変感謝を申し上げたいと思いますし、まだ、例えば新しい研究開発法人の数をどうするのかとか、細かいところについてはまだまだ少し詰めなければいけないところはあると思うんですが、少なくとも新しい研究開発法人、ニューブリードになったと、半分独法の中に体は入っているかもしれませんが、手足は出ていると。やはりニューブリードになったということは、私は大きな一歩だと思っています。そこは新藤大臣と稲田大臣とぎりぎりの議論をしたんですが、やはり彼らも世界最高水準の研究開発トップを作るために、譲るところは譲っていただいて、我々も譲るところは譲って、痛み分けといいますか、一歩踏み出したのではないかなと思います。

○平成25年12月24日稲田内閣府特命担当大臣記者会見
(略)研究開発法人の取扱いについては、ずっと春以降、大臣間で議論を続けております。その上でやはり今回きちんと通則法のもとにあって、横串を刺して、今おっしゃったような無駄がないような横串を刺すということは、担保されたわけであります。とは言え、世界水準のものについては、特例を認めようということで、特例法をつくるわけですけれども、その趣旨からしても、その数というのは極力少ないものであるべきであるということを4大臣、私と新藤大臣、下村大臣、山本大臣の中でもきちんと合意いたしております。今後、それがどうなるかについては、これからの議論ではありますけれども、そこもきちんと見ていきたいと思います。

※下村大臣については文部科学省、山本大臣、稲田大臣については内閣府がそれぞれ公開した会見概要を採録。

1 件のコメント:

  1. 第3回行政刷新会議独立行政法人改革等に関する分科会における内容を踏まえ、2018年9月10日、この記事の記述を一部加筆しています。

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