平成25年度現在、半数以上の51の独立行政法人が自己の敷地内に食堂又は売店若しくはその両方を設置していることが明らかとなっている。(「独立行政法人及び国立大学法人等の自己収入の確保等に向けた取組の状況について」(平成27年12月会計検査院))設置されている食堂・売店の数は、少なくとも688店舗に上るとみられ(契約件数であり1件の契約で複数の食堂又は売店を設置している可能性もあることから、実際はこれ以上の店舗数となる可能性がある)、うち、半数近い296店舗は医療診療を行う独立行政法人であるとされる。これは、独立行政法人が病院等を設置する場合に、入院患者等の使用に供する設備として、他の総合病院と同様に食堂や売店を設置していることによるものと解される。
独立行政法人の食堂を巡っては、「独立行政法人の法定外福利厚生費の見直しについて」(平成22年5月6日総務省行政管理局長事務連絡)において、「食堂の運営費・業務委託費、食券交付等の食事補助の支出を速やかに廃止する」旨が示されていることから、食堂の運営にあたっては、独立行政法人が支出を行うのではなく、食堂を運営する企業等が売り上げにより採算確保を図るケースや、さらに食堂入居に伴う貸付料等を独立行政法人に支払うケースがほとんどであると考えられる。一般論として、民間企業等における「社員食堂」の類については、利用者の支払う食費の一部又は全部を企業が支払うことにより安価な食事の提供を実現するケースが見られるが、独立行政法人においては「独立行政法人の法定外福利厚生費の見直しについて」のとおり、この民間企業等で見られる手法を採用するハードルが高いことなどを踏まえ、食堂を運営する企業との契約条件として「利用者に対する安価なサービスの提供を条件に貸付料等を徴収しない」ことととする工夫により、実質的な福利厚生を実現している場合もあるとみられる。
近年においても、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(平成31年2月8日閣議決定)において、独立行政法人の「食堂」において使い捨てプラスチック容器等を原則使用禁止するほか、「庁舎等において行う小売業務」に関して使い捨てプラスチック容器の排出を抑制する旨が掲げられるなど、独立行政法人の食堂及び売店に関する運用ルールの新設が見られているところであるが、「独立行政法人の法定外福利厚生費の見直しについて」以後、独立行政法人に対するその食堂への関与は相当程度に薄まっており、その実効性及び妥当性(例えば独立行政法人の食堂を企業が独立採算により運営している場合において、どの程度の強制力を以て「使い捨てプラスチック容器等を原則使用禁止」することが可能か、すなわち運営企業の採算性にどの程度介入することが可能か、等)については、今後の検討を待たなければならない。
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