2019年3月1日金曜日

研究開発法人及び国立大学法人等による成果活用事業者に対する支援に伴う株式又は新株予約権の取得及び保有に係るガイドライン(平成31年1月17日内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)・文部科学省科学技術・学術政策局)

 「研究開発法人及び国立大学法人等による成果活用事業者に対する支援に伴う株式又は新株予約権の取得及び保有に係るガイドライン」(平成31年1月17日内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)・文部科学省科学技術・学術政策局)は、平成31年に内閣府内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)と文部科学省科学技術・学術政策局の連名で発出されたガイドライン。科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成20年法律第63号、旧研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律(研究開発力強化法))の改正により、研究開発法人は、研究開発法人発ベンチャーへの支援に努めるとともに、一定の条件下で株式又は新株予約権を取得及び保有することができるようにされたことを受けて、株式の取得等に係る基本的な考え方について定める必要性が認められたため、ガイドラインを定めることとなった。ガイドラインの概要等は以下のとおり。

○前史
 従来、国立研究開発法人においては、「株式の保有が、他の企業の経営権を有することにつながり業務の膨張を招くことになること」(平成30年11月30日衆議院文部科学委員会柴山文部科学大臣答弁)への懸念から、株式の取得・保有が「抑制的に取り扱われてきた」(同)。他方で、「研究開発型ベンチャーをより一層生み出しやすい環境を整備し、研究開発法人及び国立大学法人等との連携を促す」重要性が認識されるにいたり、研究開発力強化法が改正され、研究開発法人が、「資力が弱いが有望な」研究開発法人発ベンチャーに対する育成支援として、株式又は新株予約権を取得及び保有することが「できる」こととなった。
 なお、この法改正は「できる」規定を設けたものであるため、「株式等の取得及び保有を必ず行わなければならないというものでは」ない(前出、文部科学大臣答弁)とされている。

○対象
 研究開発法人が支援に伴い株式等を取得することができるのは、「特に必要な場合」に限られる。具体的には、研究開発法人の研究成果を活用した「事業の有望性が高い」研究開発法人発ベンチャーであって、当該研究開発法人による「支援に対し、現金による支払いを免除又は軽減すること」が当該研究開発法人発ベンチャーの経営の加速のために特に必要と考えられる場合が対象とされている。

○株式等の取得に係る手続き等
 研究開発法人は、研究開発法人発ベンチャーに対し、その資力その他の事情に応じた支援を行うことができること、及び支援プログラムの基本的事項(対象資産、支援対象の条件、株式取得・議決権行使の方針等)について適切に周知・公表することが重要とされている。また、研究開発法人発ベンチャーの側から株式等を提供したい旨の意向が示された場合には、株式等の価値を公正・客観的に判断できるよう、外部専門家の意見等を活用する必要があるとしている。

○適切な管理
 法令上、研究開発法人が保有する株式等について保有年限等は定められていない。こうした中で、株式等の管理・売却等に係る対応については、組織体制及び規程等を整備することが望ましいとされている。ガイドラインでは、管理担当者及び管理部署を指定、設置するなどして、定期的な評価等を行うこととする、と言い切りで管理要求を示している。

○関係規制等遵守
 独立行政法人通則法や独立行政法人会計基準、金融商品取引法におけるインサイダー取引規制などに万全を期し、また、研究開発法人発ベンチャーの経営体制や株主公正に反社会勢力などとの関係が認められないことを確認する必要があるとしている。特に、独立行政法人通則法における「密接関連法人等」に対する役職員等の再就職斡旋規制、独立行政法人会計基準で求められている「特定関連会社」との契約・取引状況の公表について、具体的に例示している。

○情報の管理・公開
 研究開発法人は、案件毎に株式等を取得するとの判断に至った経緯及び理由、取得株数の考え方を記録し、保持する必要があるとしている。加えて、所管府省に対しては、適時適切な報告を行うとともに、企業秘密に配慮しつつ、適時・適切な情報の公開を行うこととしている。

○中(長)期目標等への反映
 国立研究開発法人の場合は中長期計画、国立研究開発法人以外の研究開発法人については中期計画にて、新株予約権の権利行使に伴う支出について、計画上の予算、終始計画及び資金計画にその財源を計上する。なお、余剰金又は積立金を原資に権利行使を行う場合には中長期計画又は中期計画の余剰金の使途又は積立金の使途に適切に反映することとしている。

○新株予約権の会計処理
 新株予約権の会計処理は「「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」」に特段の定めがないことから、公正妥当な企業会計の基準に準拠することとし、会計監査人と事前に協議した上で適切に処理することを求めている。

→研究開発法人による出資等に係るガイドライン(平成31年1月17日内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)・文部科学省科学技術・学術政策局)
→研究開発法人
→国立研究開発法人
→「国立研究開発法人」以外の「研究開発法人」
→中期計画/中長期計画/事業計画
→独立行政法人の中期計画、中長期計画及び事業計画に係る予算等について(平成27年3月24日総務省行政管理局修正)

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